第10話ABCのC
人間は何故、こんな愚鈍のような行為に夢中なれるのか圭介には分からなかったが
遥香の婚約者の事を見て人間どこまでも落ちていけるしどこまでも高見を目指していけるのだと感じた。
遥香は、あれから食事も取らないで窓の外ばかり見て独り言をブツブツと言っていた。
今のところ第一工場、第二工場、第三工場と共に全国で質も量もナンバーワンである。
孝も喜んでいる。
そしてたくさんの縁談を持ちかけてくる。
みんな金持ちの娘ばかりだ。
しかし、遥香に恋を抱いている圭介には、苦痛でしかなかった。
「お前の遺伝子は天才だ。」
孝は、自慢気に言う。
いっそ、孝のように仕事にもプライベートにもエネルギッシュな人間になりたかった。
孝は、何十人と子供から孫までいる。
正室は圭介の母しかいなかった。
圭介は、遥香を抱きたいが壁がある。
そこで体外受精、人工受精を遥香にしてみた。
しかし、上手くいかなかった。
この時はまだ軽く考えていた。
しかし、失敗を何回もするとさすがに圭介もイライラが蓄積されてきた。
ドクターに妊娠しない理由を問い詰めた。
そうするとおそろおそろしく答えた。
「工場長…。あなたは精子が無いんです。無精子病です。」
「そんな…。」
自分の方に欠陥があるとは圭介は思っていなかった。
「ドクターどうにか精子を作る方法はないのか?」
「今の医学では精子を作る方法は無いんです。」
「いくらでも金は出す。どうにか研究してほしい。見つかったら医学的には革命的だろ?」
「…。」
「ドクター?」
「分かりました。やれる事は全部やってみます。」
最初は、切ってそこから精子を抜く方法を取った。
しかし、上手く受精しなかった。
ドクターの出した薬を飲んだりした。
ドクターもお手上げ状態になった。
「後は、直接あれをするしかないです。確率は高くなります。」
やはりなとため息を圭介はため息を出した。
遥香を圭介は呼び出した。
色々、説明したがつまりするかしないかだ。
遥香は、簡単にOKを口にした。
赤ちゃん欲しいしと言った。
今晩、来てねと遥香は言った。
圭介は久しぶりに緊張した。
しかし行為は、遥香がリードしてくれた。
お互い優しくするようにした。
「圭介、好きだよ。」
「俺もだよ、遥香。」
朝を向かえた。
永遠に続ければ良いと圭介は思っていた。
遥香との夜と朝…。
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