第23話 変態お兄ちゃんは異世界の夢を見ない



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***





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*




――この男、何者なんだ?




出会った瞬間、ジリオラの思考は疑問で埋め尽くされていた。


すぐ後ろには黒の国二番隊、精強な二万の兵が控えている。ジリオラが直々に訓練した突撃部隊の面々が今も男に銃口を向けている。しかし男は臆することなく佇んでいる。




――なぜだ、なぜこの私が…?




隊長のジリオラが一言発するだけで、敵はいとも簡単に蜂の巣にされる。しかし、その一言が出てこない。




――この男、一体何者だ…?




それぞれが獲物を手に警戒している黒の軍を前に、男は自然に対峙している。目の前にいる男は強そうにも見えないが、その表情からは緊張の欠片も見えない。




「貴様…、何者だ。 何故ここに居る」




ジリオラは愛刀の切っ先を向けながら、目の前の男に問いかける。戦場で敵とお喋りなど馬鹿らしいと思ったが、そうせずには居られなかった。




「……。貴様、聞いているのか?」




男は答えず、視線だけをこちらに向けている。表情から考えは読めない。


戦闘狂のジリオラから見て、目の前にいる男はどうみても素人だ。駆け出しの兵が着る平凡な外装、片手剣を構えてはいるものの、その切っ先はゆらゆらと不安定に揺れて脅しにもなっていない。男が非戦闘員だという事は一瞬で看破できた。




――なぜ…、何なんだ、この気持ちは…!?



だが、目の前の男への疑問は尽きること無く、むしろ膨れ上がっていく。


斥候から上がってきた報告に、ジリオラは初め『白の国が差し向けた使者』だと思っていた。白の女王アリシアは対話を好む腰抜け、、、であり、停戦の申し出など如何にもヤツらしいと考えたからだ。




しかし、




「…おい、貴様。聞いているのか? 答えろ、何故此処にいる。殺されたいか」




目の前の男から、異様なプレッシャーを感じる。斬りかかろうにも動けない。


暴虐のジリオラが今までに一度も感じたことのない、じりじりと肌を焼く異質な熱と圧力。ただ対峙しているだけで背筋に汗が浮かび、自然と息が上がってしまう。戦場で縦横無尽に暴れまわるジリオラの脚が今は完全に止まっていた。




「…貴様、一体何者なんだ…!?」




冷徹に問いながら、ジリオラの思考は疑問で埋め尽くされていた。警戒したまま動けず、棒立ちのまま歩み寄ってくる男を見つめる。男との間合いが縮まっても微動だにできない。




「――隊長。いかがされますか」




耳元で不意に聞こえた静かな声にジリオラは我に返った。いつの間にか傍らに二番隊副隊長リリナが控えていた。




「…隊長、ご指示を」




こちらへゆっくりと迫るユウトを眺めつつ、冷ややかな声で問い直すリリナ。


戦場で彼女がジリオラの隣に居ることは滅多に無い。それは勇猛果敢なジリオラが切り込み隊長として部隊から特出し、後方で指揮するのは冷静な分析力を持つ彼女だからだ。戦場で肩を並べたのはこれが初めてだった。




「…敵は一人、いかようにも出来ます」




無言のままにジリオラはリリナとその後ろに控える兵達を見る。二番隊の兵達の間には動揺とは言わぬまでも、得体のしれないユウトに気圧されているようだった。




「…ご心配されずとも、兵はいつでも動けます。」




隊長のジリオラが棒立ちとなっている間に、リリナがなんとか兵達を立て直したのだ。しかし、隊長が動かないままであれば、士気は再び低下してしまうだろう。戦場においてのそれは敗北に繋がり、敗北とは即ち死だ。




「隊長。ご指示を」




無言でこちらへと歩み寄る男。リリナの冷たい瞳。縋るような兵達の視線――最早、ジリオラに迷っている時間はない。無言で剣を空へ掲げる。



出来ればこのまま会話で男の情報を引き出したかったが、こうなってはもう言葉に意味はない。



そもそも、これは戦争。求められるものは結果であり、交わされるのは言葉ではなく剣戟と銃声。勝ち残った者だけが正義を語れる、殺し合いという名のコミニュケーション。




「――やれ」




冷たく透き通った声で、たった一つの意志を告げる。振り下ろされた剣を合図として、兵たちは一斉に引き金を引いた。





――一方、向けられる剣先を見ながら、ユウトは全く別のことを考えていた。




もとの世界において、長瀬兄妹は自妹共に認めるブラコン・シスコンカップルである。ベッドで交わった数は四桁は優に超え、愛し合うがゆえに妹の一挙手一投足から読み取れる情報は膨大だ。



一日のうちのおよそ二十二時間、妹の明日香とはトイレ以外で(時にはトイレでも)常時交わっていた兄、ナガセユウト――そのシスコン男はジリオラを前にこう思っていた。




――こいつ、俺の妹だ。




挑発的な褐色の肌。深い藍色のショートカット。鷹のように鋭く険しい目つき。清楚など程遠い、豊満な躰を覆う申し訳程度の防具……派手な外見は長瀬明日香とは似ても似つかなくても、




――こいつ、俺の妹だ。




ジリオラと対峙した瞬間、ユウトはそう理解していた。


白の国の騎士アスナに触れた時に感じた、自分の魂の一部に触れるような感覚。手のひらから感じる熱に全てを知り、また全てを知られているような感覚。耳元で聞こえる、甲高い嬌声がもたらす全能感――ユウトは妹において知らない事など一つも無いのだ。



それは元の居場所とは違う場所――異世界だろうが変わらない。妹の性癖、弱点、スリーサイズ、特技、性感帯の位置、現在及び未来に至る思考の流れ――こと妹においてユウトに分からないことなど無い。




――故に、銃弾が迫ってもユウトは踏み出した足を止めなかった。妹の想いに応えるために。





*****




二万対一という圧倒的優位にあって、ジリオラはユウトを侮っていた訳ではない。


相手の能力を侮って油断するなど隊長としては言語道断だ。「どんな相手でも手を抜くな」と二番隊の兵達にいつも言い聞かせているのは彼女でもある。



ジリオラも、副隊長のリリナもそして兵達も微塵の油断もしていなかった。ただ、直後に起こった事態が彼女たちの想定を遥かに超えていただけに過ぎない。




「――バカなッ!? 全ての銃弾を受け止めただと…ッ!?」




硝煙と土煙が晴れた時、ユウトに殺到した銃弾はその全てが手に受け止められていた。驚愕するジリオラたちの目の前で鈍色の弾丸がパラパラと地へ撒かれる。




「そんな…ッ!? あ、アレは…!?」




手のひらに浮かぶ『 I ♥ 妹 』の紋章。

それは妹妹世界シスシスワールドに住む誰もが知る、絶対王者の証――




「――ッ!あの紋章はシスター・オブ・ハート!シスシスワールドお兄ちゃん覇者!勝てっこありません!隊長!」




目の前で起こった信じがたい光景に、驚愕の声を上げる二万の兵たち。その隙を突いてユウトは地を蹴った。爆発的な跳躍でジリオラの元へ迫る。



「…っぁ!?」



開いていた間合いを一瞬にしてゼロに変え、藍色の髪へと手を伸ばす。その手をジリオラは辛うじては身を捻って躱した。慌てて距離を取ろうとするが、やはり脚が動かない。かすめてしまった頬が桜色に染まり、愛液がどろりと股を流れた。




「陣形を崩すな!相手は一人だ!一撃当てさえすれば――!」




混乱しつつも副隊長として部隊を鼓舞するリリナ。そこへユウトの手が触れる。固く強張った表情が一瞬にして蕩けた。




「んほぉ!!そんにゃぁあああんっ!しゅごっ、しゅごくイイっっ♡お兄ちゃんちんぽしゅごしゅぎぃいぃ♡」




蕩け顔のまま、あっという間に裸にひん剥かれたリリナはユウトの逸物に貫かれていた。



「こんなのらめええっ!!もたにゃいいいっっ!イくぅぅぅっっ!!♡♡」



一瞬で絶頂へ追いやられ、だらしないアヘ顔のまま優しく地面に寝かされる。冷徹に見えてリリナは実は甘えん坊、言葉も愛撫もド直球のストレートなものを好むと見抜かれていた。




「そ、そんな…!?り、リリナがヤられるなんて…ッ!?」




すとん、と小娘のように尻もちをついて震えるジリオラ。リリナとは幼馴染だが、こんなにもとろっとろに蕩けた幸せな表情は今まで見たことがない。




「や、やめろ…わ、私には止めて…止めてくれ…!」




ずりずりと地を這いながら、その場から逃げようと藻掻くジリオラ。まるで粗相をしたように垂れ流した愛液で地面に線を描きながら、なんとかユウトから離れようとしている。




「やめろよ、絶対に止めろよ…!私は、私には…!」




しかし、ジリオラは本当は大好きな兄に強く抱きしめて欲しがっていて、対面座位と顔射が大好きだとユウトは知っている。




「や、止めてくれ…!やめてやめてやめんほおおおおぉおぉお!!!♡あああっ!イクッ!イッてるのにぃっ!顔にかけられてまたイきゅうううっっ!!!♡♡」




本当の望みが叶ったその瞬間、文字通りジリオラの意識は飛んでいた。ふわふわとした浮遊感が全身を包み、頂点であっけなく意識を手放す。




「ジリオラ隊長!副隊長! お、おのれ…っ!」




ユウトへ再び銃口が向けられる。

黒の二番隊の兵力、残り二万。ユウトにしてみれば此処は戦場ではなくビュッフェ会場だ。制限時間無制限で甘く柔らかい妹たちを好きなだけ食べられる。




「隊長に変わってこの私がお仕置きされしゅるうううんっ!!♡♡ああああんっ!らめえええっ!熱いっっ♡この私が赤ちゃん生産工場にされりゅううっっ!!♡」




エリートだらけの部隊で伸び悩んでいた妹もユウトに挿入された瞬間にストレスから開放されていた。噴水のように愛液を吹き出し、アクメ顔のまま失神する。




「かっ、勘違いするなよっ!別にお兄ちゃんの汚いオチンチンなんかんほぉぉぉっっ!!!きたぁっ♡しゅごいのきたぁあああああっっっ♡」




素直になれず周りから孤立しがちだったツンツン妹も挿入された瞬間にアヘ顔で素直化されていた。とろっとろのメス顔のまま欲望のままに男根を飲みこんで絶頂。刹那の間にユウトは四人の秘部を打ち貫いていた――残り19,996人。




「んひいいっっ!らめえええっ♡妹汁がオリーブオイルみたいに出ちゃうううっっ!♡♡」



アン!



「かかってきなさい!お兄様といえど王家に連なる高貴なるわたくしはそう簡単にイックゥウウゥッッ♡♡」



アン!アン!



「ウチの爪で引っ掻き回してやにゃああんっ♡♡らめえっっ♡兄ちんぽしゅごしゅぎぃ!反り返ったカリ首で引っかき回されるにゃあああああんっっ♡」




アン!アンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアン!!!




「ウソだ!そんなぁっ…!出世街道をひた走る私が、この私が!こんなクソ兄野郎なんかにイカされるはずが…っ!この私が、この私がぁああんっっ!イクーーッ♡♡」




一人の例外もなく喘がされる妹たち。異世界で異能を身に着けたおかげでユウトの精力や体力も遥かに増大していた。性感帯を的確に責め、妹たちの欲望を余すとこなく叶えていく。




「さあ来い!アニキ!私は実は一回突かれただけでイクッッッゥッッ!♡♡」




アン!アンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアンアン!!!





――そして、リリナの絶頂から二時間後。




「な、なんだこれは……アイツが一人でやったのか…?!」




アスナとスミカが合流した際に見たものは、大地に広がる愛液の池と絶頂に身を震わせて時折甘い声を上げる――二万人分のアヘ顔だった。




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