メタテラ

ktr

Case 0: initialize

pre-process

# initialize meta-tera


 女は、透明な板状のタッチパネル式インターフェイスを軽やかにタップしていた。

 楽器演奏のように、巧みに。

 しかし、出力されるのは音楽ではない。

 タイル状に分割されたウィンドウに流れるは、情報の海だ。

 眼鏡をかけた瞳は、素早く画面を舐めるように移動し、情報を拾う。


# inject PL............OK


 手は止めず、頷き一つで問題がないことを確認したと見える。

 幾つものコマンドを並列で実行しながら、着々と何かの準備を進めているようだ。

 女の口元に浮かぶのは、どこかシニカルで自嘲的な笑み。


# Do you really want to start meta-tera?


 パネルを叩く手が、止まる。

 大量に表示されていた情報の海はどこかへ消え去り。

 画面の中央に大きく『 YES 』『 NO 』の表示。

 シンプルな二択。

 女は、少しだけ躊躇した。

 だが、すぐに頭を振って何かを振り払い。

 タッチパネルに表示された『 YES 』の文字をタップした。


# meta-tera started.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る