4% ログアウト
しかしながら, 名前も知らない女の子は話を続けてくれた.
『 ダンジョンは水平方向にだだっ広い広さを繰り広げてる。地球の地表面積のおよそ数億倍と私はチュートリアルで知った。上階も地下もない。
ただ、ログイン地点から最も遠い場所, 最果ての地に全ての謎の答えが置いてあるらしい。』
「地球の数億倍は盛りすぎだろ。。。」
素直な本音が漏れた. この女の子が言う謎の答えとは,
『 今や現実世界がなぜ存在するのかを密かに気にしている人間は少なくないと私は思う。ダンジョンにいるクライアント達はみな, 何かしら強い思いを秘めている。』
文脈から, ゲーム世界の中にいる人間のことをクライアントと呼ぶのだろうと察した.
「その、クライアントの人たちはみんな、世界の謎?を追い求めてるのか?」
女の子は一瞬だけ黙って, また口を開く.
『 いや。ダンジョンでの目的は皆さまざまなんだ。この非日常な空気を体感したいだけという奴もいるし、何しても現実には残らないから娯楽目的の奴、犯罪沙汰にもならないから憂さ晴らしにくる狂人もいる。』
未だに夢のような話だ. 何してもいいってことじゃないか. そんなことがあってもいいのか.
『 お前がどんなクライアントになりたいかは知らないが,
『 まぁー、そんなとこだ。じゃあなバカルーキー。』
女の子は懇切丁寧に僕に色々教えてくれ, 去ろうとした. 僕はもう会うことはないだろう女の子の名前を知らなかった. アンインストールするつもりだったが, 不思議と名前を聞きたかった.
「名前はなんて言うの。」
『
僕をいきなり殴り飛ばしてご親切な設定説明をしてくれた皇さんは研究室から立ち去った. そのとき狐さんが気だるそうに起き上がった.
『お前さんはもう帰れ。 』
散々だ. 狐さんの言う通りにしよう. 早く帰って忘れよう. 世界の謎を解き明かすゲームのチュートリアルが終わった僕は, 忠告通り人気のない所でカメラを使い, 無事ログアウトを終えた.
帰りもどうやら行きと同じ道らしい. 堕ちて行く感覚が全く同じだった. 早くも慣れたがこれで最後である.
僕は
確かに世界がなぜ存在するのかは気にならなくはないが, 今はその謎より職が欲しい.
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