19% 結城さと
栗花落さんは女の大きな口を開けた腹部に飲み込まれた.
『あらぁ。お仲間さん捕まえちゃったぁ♡ごめんねぇ。』
謝罪の意は全く感じられないが, 事実僕の上司は僕を庇って彼女の体内へ消えた. しかし栗花落さんが呆気なく死んだりすることがあるのだろうか. 付き合いは短いが, これから長い付き合いをする予感が未だにするのだ.
『……まぁ、すぐには殺せないのが難点なんだけどねぇ。すぐに溶かすよ……君たちも♡』
再び感じるどす黒く純粋な殺気. 言葉の意味から考えるに, 栗花落さんはまだ生きている. 僕の予感はいつも当たる方だ. これから先輩を助ける.
僕は
魂を燃やす. 躍動する想いを身体に伝える.
『あらぁいい徳ね。君のも欲しいなぁ。』
僕が女に向かって全力前進走っている最中, 脚が何かに引っかかった. そして完全に動けなくなってしまった. 苛立ちと怒りが僕の脚をさらに力ませる. しかし微動だにしない.
足元を確認すると, そこには雑草やらどこから生えてきたのか不明な植物の
「これは、まさか……!」
『私の
蔓が更にきつく締まってやがて僕の下半身を全て包み込んだ. 徳技とは, 僕達が徳を使って何らかの効果を得ているこの状態の事だろう. 護華とどう違うのか分からないが, 今は名称なんてどうでもいい. 早くこの蔓から脱出しなければならない.
『さっきあの雑魚バグと戦ってるの見てね、あああの徳技使ってみたいなーて!思ったの!』
「……あなたを本社に連行します。」
『うーん、それはまぁいいけど、君たち本社に生きて帰れるのかなあ!』
にこやかな表情とともに再び大口を開けた腹部が迫ってくる. 栗花落さんを助けてこの女を捕まえることが今の僕の仕事であることを魂に刻む.
『恐らく、あの腹を殴りかかってもあなたが吸い込まれる!私が何とか隙を作るから信楽くんは決定打を!』
京さんの指示に従おう. その時, 嬉々揚々と不気味な笑い声をあげる女は, 京さんに反応するように叫んだ.
『あ!自己紹介するね!私は結城さと!…GOLDBARGのメンバだよ♡』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます