21% 覚醒

全身が燃えるように熱い. この巨大な体躯を通常以上の速度で駆動させるため, 必然的に必要な熱量も倍以上となる. 焦げる感覚を初めて味わう. まともに猿化したのは2度目である. 暴走を恐れていたが弱いバグで練習しておくべきだったなと振り返る.


しかし今は, 目の前の敵を倒すことだけが頭にあれば十分だ. 今僕の手の中には栗花落さんがいる.


『あれ!盗られちった……』


僕の攻撃をまともに受けて人質も失った結城はまるで遊び道具を無くしたかのような感覚でものを言った. 悔しくないのか?


「…ホ、ホンシャニドウコウネガウ……」


この姿のままでも言葉を発することが出来た.


『うーん……。いやだ!かといって植物お兄さん盗られたらやることないなー、まいっか!』


再び強い殺気. 再び構えるがそれは徒労に終わる. 結城はダンジョンの暗闇に消えた.


「…逃がしたか…。」


『いや、今のこの状況ではこれが今最善かもね。とりあえず栗花落くんを持って帰りましょう。』


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

DHARMA HEARTS -ダアマハアツ- すがろき @hot-gollira

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ