1% だるまさんがころんだ
僕は目の前のパソコンモニタをカメラに映した. そこで
" Do you would like to entry into the dungeon from this object? "
と表示された. 要するに, ここからダンジョンに入りたいか?という疑問文であった. ダンジョンという単語から, このアプリがゲームアプリであると推測した. なぜならば, 言うまでもない.
現実主義者の僕は基本的に大体の冗談には乗る. それは, それが有り得ないことだと分かっているから. だからこの場合も僕は"YES"をタップした.
その
意識だけなのか, 身体もなのかは分からないが僕はモニタへ吸い込まれた. そして, 墜ちた. 僕はかなり長い距離をダイビングするように底へ向かって泳いだ.
なぜか恐怖というより, この瞬間は
重力に身を任せてただただ下へ堕ちて行く僕には, 思うことがあった. これがもし夢だとしたとしても,
「現実の僕と同じじゃないか。」
ふと声が漏れたとき, 地が見えた. この瞬間に初めて恐怖が1番になった.
「……ぅうわぁぁああ!!!死っっぬぅうぅうぅう!!!!」
瞼をおろして衝撃に備えた. がしかし, その衝撃が来ることは無かった. 身体はふわふわと減速し, 地面に浮かび上がっている黒色の渦のような紋様を緩やかに通った.
「あれ??生きてる。」
悪夢だ. 早く起きたい. そのようなことを思い浮かべた矢先, 僕の目の前に広がった光景は, 僕がさっきいた研究室だった.
「研究室じゃん。え、でも。」
頭の上をおそるおそる見ると, 黒い渦が閉じていた. 夢ではないことを理解する.
「……ちがう。」
明らかに平穏な日々の中にある僕のデスクとは異なった. 正確に言うと, 椅子や机は同じだが, 隣にも前にも後ろにも, 人がいなかった.
さっきまで僕の
僕は廊下へ足を運ぼうとした. ほかの人間を見つけたかった. しかし, 何らかの動物が部屋中央にいた.
耳はピンと立ち, 尾はからだと同じくらい大きく, 柔らかい茶褐色をした犬猫の類にみえる. すると, それは首だけを面倒くさそうに回転させた. せめて人がよかったが, 僕は生まれて初めて見る狐を前に安堵ができた.
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