13% 渇望
一瞬が永く感じる. 僕にはやらなければならないことができた. いや, 元々あったのかもしれないが, やっと明確になった. 僕には小さい頃から密かに抱いていた矜持がある. 就活であたかも人格そのものを否定されているような被害妄想に陥ったことで, それを忘れていた. 僕は元々プライドが高い自信家だったんだ. 他人にできていることがただ一人, 僕だけができていないこの状況に憤りすら覚える.
「違う。」
僕が何かを否定すると愛葉くんがきょとんとする. 僕が否定したかったのは紛れもない今の自分自身だ. いままで全てがいい感じだった, それがいつしか化け物の相手をしなければならなくなった. これがいまの僕がやることだ. あのアプリがインストールされた時から僕のやらなければならないことは決まってたんだ. ただひたすら, 単純に魂を燃やすイメージを行う.
「僕の, いや俺の真の姿。。。」
熱い. 心の奥底の自分自身の原点によって灼かれる. そして思い出す. 本当は僕にだって野心はあったんだ. ただ俺は, 宇宙世界の真理が特に知りたい訳でも, ここに棲みつくバグを貪りたい訳でもない. ひたすら, この会社でNo.1になって他の人間全員に俺の力を認めさせたい. ただの承認欲求, それが俺の原動力だ.
燃やしている魂に更に自分自身の荒々しい野心を投影させる.
「護華、
俺は開花した. 徳を解放させた俺の姿は, 背も横も二倍ほどになり美しい真っ白い毛並みの大猿になっていた. 力がみなぎる. 荒々しく渦巻く嵐の中で, 雄叫びを轟かせる野生の姿.
『ほほう!
狐さんが何を言っているのか理解できない, どころか, 体をうまく動かせない. いや違う, 勝手に動いている!
強靭なバネを用いて高く跳ね, 元の俺では考えられないぐらい太く逞しい腕を思い切り狐さんに振りかざした. 但し, 狐さんに到達する前に,
『あんた何やってんのよ!バカ!』
皇さんの拳に捕まった. そして, 予想通り一発KOをいただいた.
▪ ▫ ■ 翌日 □ ▫ ▪
僕は会社の医務室のような場所で目を覚ました.
初対面, ではない.
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