あの遠くの空へ声を投げつけて
いつか見た夕焼けの色をもう忘れた君へ。
近づいた顔をどぎまぎしながら見つめていた記憶をたどって、僕は川べりにやってきたことを思い出した。
きっと君は明日の事も忘れているに決まっている。
そして無邪気に笑っている。
誰の事も気にしないでいられるのは君の良い所でもあり、悪い所でもある。
一瞬、貴方の事を忘れかけていた。
忘れるなんてしてはいけない事だというのに。
切れ端の夢の中にひとかけらの真実があったのだけど、今はもう紛れて何もわからなくなってしまった。
貴方はどこに行ったのか。
迷いながら人混みの中をかき分けて探しても、もう見つからないと知っている。
その背中の記憶だけを脳裏に焼き付けて、今日も裸足で私は行く。
どこへ行っても、どこかへ連れて行っても。
行く先など無いとわかりきっていたというのにそれでも歩く事はやめられない。
彷徨うのが僕たちの使命だと誰かが言っているような気がする。
命が続く限りの放浪。
骨が見えて、肉が削げ落ちて、気力が体力が尽きたとしても。
魂でだけでも僕たちは行き続ける。
どこへ?
さあ。
わからないなりに気になる所に行けば、何かはわかるかもしれない。
もっと遠くへ、どこまでも遠くへ。
その気になれば空も飛べる、きっと。
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