昨日何したっけ?
昨日何食べたかなんて覚えてるのは、大分記憶力の良い人だと思う。
昨日何をしたかって言うのをおおまかにでも覚えていないのはだいぶ不味い兆候だと思う。なんでって、そりゃボケ始めているからだ。あるいは病気かも知れないし、白昼夢かもしれない。
毎日が同じことの繰り返しだとすると、いや微妙に違っているとしても、大して気にも留められないくらいなら大体同じに違いないのだ。
昨日何したっけ?
曖昧な記憶と曖昧な行動、曖昧な言葉が全てを塗りつぶしていく。
白い壁に囲まれた、机と椅子とベッドしかない、窓もない出入り口のドアは固く閉ざされていて中からは開けようもない部屋の中に僕は今いる。
何をしたらこんな部屋に閉じ込められるんだろうなと他人事のようにつぶやいた。
さりとて何も状況が変わらないのなら、諦めて受け入れるしかなかろうよ。
寝入った先では僕は何かを追いかけていて、いや追いかけられていて?
とにかく走っている。夜。空気を切り裂くように寒い。
目の前がとっ散らかっていて焦点が合っていないが、とにかく焦っている。
右手に何か持っている。それはただの棒かもしれないし、刃物かも知れない。
何かべっとりついているのか、手にも。
絹を切り裂くような悲鳴が聞こえた。
後にも先にも、前にも後ろにも進めずここが袋小路、デッドエンド。
起きた時に頭の中からそういう言葉が聞こえたのだ。
このままここで宙ぶらりんで居る事がお前の使命であり罪でもあるのだ。
その時が来るまで吊り下げられていればいいよ。
だから僕はきっと後悔しないだろう。
いや、してやるものか。
ただただ無為に徒労に無駄にされるものなら、むしろそれすらも楽しんでやる。
意外と前向きなんだぜ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます