概要
こんなにも苦しい時間のことさえも、いつの日か「青春」と呼ぶのだろうか。
――努力を、不断の努力を積める人間はたしかに宗教だと思う。それと同時に、他人を偶像と呼ぶことは暴力だ。(本編より)
――いかなる人間も、生きながらにして神格化されるには値しない。(ジャン=ポール・サルトル)
■あらすじ
中高一貫校の弓道部に所属する坂川潮は、部の主将である一学年上の森田優都のことを心から尊敬していた。人数不足で一時は廃部の危機にもあった弓道部をほぼ独力で立て直した優都は相当な努力家で、後輩たちにとっては手本となる存在だった。かつて、幼くして努力では超えられない壁があることに挫折を喫した経験のある潮にとって、目立った才能はなくともひたむきに努力を重ねる優都の姿は眩しく映るものだった。
優都は都内有数の選手のひとりであり、中学時代から全国大会への出場を目標に語っていたが、高
――いかなる人間も、生きながらにして神格化されるには値しない。(ジャン=ポール・サルトル)
■あらすじ
中高一貫校の弓道部に所属する坂川潮は、部の主将である一学年上の森田優都のことを心から尊敬していた。人数不足で一時は廃部の危機にもあった弓道部をほぼ独力で立て直した優都は相当な努力家で、後輩たちにとっては手本となる存在だった。かつて、幼くして努力では超えられない壁があることに挫折を喫した経験のある潮にとって、目立った才能はなくともひたむきに努力を重ねる優都の姿は眩しく映るものだった。
優都は都内有数の選手のひとりであり、中学時代から全国大会への出場を目標に語っていたが、高
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!信仰のこと、それを託すこと
この作品のタイトル、そして冒頭に描かれた風景が
最後になってあのように終結するとは…。
中高の弓道部の、少年たちの話ではありますが、
これを青春と呼ぶにはあまりに胸が苦しい。
才能と、努力と、それらを結ぶ線分のどこかでほつれた
正しさの中で、苦しむ少年たちの群像です。
優都、千尋、雅哉、潮、京、拓斗、由岐。
ひとりひとりに抱えた思いがあって、
追い求めている正しさのなかで、
それを射止めるかのように弓を引く姿が
美しかった。
それは、例え正しくないのだとしても、
的を射ることはできる残酷さも含めて。
ラストシーンの手前、優都が自分の射型を見つける場面が、
彼の原点を思い出させて、とて…続きを読む