この作品のタイトル、そして冒頭に描かれた風景が
最後になってあのように終結するとは…。
中高の弓道部の、少年たちの話ではありますが、
これを青春と呼ぶにはあまりに胸が苦しい。
才能と、努力と、それらを結ぶ線分のどこかでほつれた
正しさの中で、苦しむ少年たちの群像です。
優都、千尋、雅哉、潮、京、拓斗、由岐。
ひとりひとりに抱えた思いがあって、
追い求めている正しさのなかで、
それを射止めるかのように弓を引く姿が
美しかった。
それは、例え正しくないのだとしても、
的を射ることはできる残酷さも含めて。
ラストシーンの手前、優都が自分の射型を見つける場面が、
彼の原点を思い出させて、とても素敵だった。
そして「こぐま座アルファ星」を見つめながら
優都が思いを馳せるラスト。
少年たちの葛藤が凝った描写に現れていて、
読んでいて胸が苦しくなるのだけれど、
それだけ満たされる作品でした。