チャンネル17 大人と子ども-01

『こんには、ロコでーす』

『マオです』

『今日は皆様にお知らせがあります。なんと私たちにスポンサーがつくことになりました!』

 大げさにパチパチと手を叩くロコの隣で、マオは"無"だった。そう、まったく何の感情も表情も浮かべていない。


 ロコの第一のファンを自称するシナモちゃんこと、土居茂樹どいしげきは、炭酸飲料とポテトチップスを両手に持ちながら、二人の温度差をハラハラしながら見守っていた。

『で、そのスポンサーですが、こちらの団体です。はい、ドン!』

 スケッチブックには、『日本霊障探求協会れいしょうたんきゅうきょうかい(JEA)』と書かれていた。聞きなれない団体だ。現代っ子らしく、シナモちゃんはさっそくネットで検索をかけた。


 出てきたのは、古臭いホームページ。『あなたは〇〇人目の訪問者です!』とカウンターがついていて、カーソルを追うようにキラキラとうっとうしいエフェクトがかかっていた。

 なにこれ、ダサイ上にウザイ。


『私も全然知らなかったんだけど、霊能者を取りまとめる団体だそうです。字面からしてめちゃくちゃ怪しいですが、代表者に会ったところ、まあ大丈夫かなと思ってスポンサーの件を受けることにしました』

『俺はまったく認めていないから』

『スポンサーがついてもブレないスタンス、さすがだね。でもまあ、金銭面でも援助してくれるっていうので、これからよろしくお願いします。あ、心霊現象でお困りの方は、こちらのフリーダイヤルまでおかけください。だそうです』


 ロコが指を下に向けて振ると、0120から始まる電話番号が表示された。

 大丈夫かな、冷やかしやイタズラの電話が殺到しなきゃいいけど。心配したシナモちゃんだったが、それはまったくの杞憂だった。


『イタズラ電話をかけてきた相手には、配線をたどって呪うそうです。皆、気を付けてね~!』

『呪いなんてあるわけないじゃん!』

『と思う方は、どしどしかけて、どしどし呪われよう!』

 ちょっと好奇心がうずいたが、君子危うきに近寄らず、だ。シナモちゃんは指先をそっとスマホから離した。

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