第一章 第16話「その力は愛のために」
あたしとリヴァイアは
「その趣味の悪い機械、あたし達がガラクタに変えてあげる!」
「ふん!
すると装置が変形をはじめる。
「なに!?」
「ハハハァ!これがこの装置の本来の目的の姿!」
クニヤスがいる部分を胴として腕と足が出来上がる、そしてその装置の背にはいくつもの人が入ったカプセルが付けられていた。
「そろそろこいつらの
「人をなんだと思ってんの!クソジジィ!!」
手に水の槍を作りクニヤス目がけ投げる。
しかし、腕に簡単に止められてしまう。
「まだまだジジィなんて呼ばれる歳じゃないわい、クソは認めるがなぁ」
あたし達はクニヤスが言い終わる前に動いていた、
「ぬぅ…!」
防がれたものの片腕を壊すことに成功する。そしてすかさず槍を胴部分へ突き立てる。
だが、いつ産まれたのかもう一体の
「まだいたの!?」
「この狂化
見るとクニヤスの後ろでまた植物が自然の怒りに変わっていく。
「リヴァイア!!」
「グルァアア!!」
あたしはリヴァイアにブレスを吐かせる。
「そんな水、屁でもないわ!」
やはり簡単に防がれてしまった、が
「んん!?」
クニヤスはキョロキョロと周りを見る。
「いっいないじゃと!…まさか!!」
「残念、もう遅いよ」
そう、あたし達はリヴァイアのブレスに乗じてクニヤスと装置の後ろへ回っていた。そしてまさにクニヤスが気付いた瞬間リヴァイアの尻尾が装置とカプセルを繋ぐ菅部分を破壊した。
「おのれぇえええ!!」
「この人達は返してもらうよ!」
装置の生きている方の腕が裏拳を放ってくる。しかし、リヴァイアがそれを許さない、迫る腕に噛み付きそのまま砕く、そこへあたしが槍で接合部を貫く。
そしてあえなく腕は装置から切り離される。
「ぐぅうう!!」
「すっ転んでな!」
リヴァイアが尻尾で力の限り足払いを繰り出す。一瞬大きな装置が宙に浮かんだ…そして大きな音とともに床へ倒れる。
腕がないその巨体は起き上がれるはずもなく、虚しくもがく。
「…降参は?」
「誰がするものか!」
ふとあたしは背後に気配を感じる…
振り向くとそこには大きなカプセル型の装置がいろいろな機械と繋がった状態で置かれていた。
「なに…これ…」
「それに触れるなぁ!!!」
「まさか!これにも人が!」
「おい…もしそれに触れてみろ…キサマどうなっても知らんぞ!」
クニヤスは今まで以上の剣幕で怒る。
そこまでの理由があるのか…とあたしは装置に付いていた小窓を覗き込む。そこにいたのは…
「女性?」
装置内は緑色の液体で満たされ、その中に女の人が入っていた。
「それ以上何もするなよ…今解放すればわしでもどうにもならんからなぁ…」
「ど…どう言う意味!?」
「仕方ない…下手に触られるのも嫌じゃからなぁ話そう…」
とクニヤスが倒れた装置から這い出して、どかっと座り話はじめた。
「まず、そこに入っておる女は…わしの女房じゃ」
「な!?」
「あれは6年前ーーー
◆◆◆
「マユコが死んだ…??」
「…はい…ですから…」
「なぜ…ウィルスマーカーのマユコだけが死んで他の者は生きてるんじゃ!!!」
「こちらも頭を下げて許されることではないと重々承知しております…」
「もう…いい…遺体は預かるでな…」
「本当に申し訳ありませんでしたっ!!!」
わしはマユコの遺体を預かり自宅兼研究所へ持って帰った、わしの頭にあったのはマユコを生き返らせること。
サブサイドが憎い…それも大きかったが無念の死を遂げた女房を生き返らせる…それだけにわしは突き動かされた。
そして、すでにその方法も考えついていた。
人工の
息子たちの手も借りながら改良に改良を重ねていった…その時すでに1年が経っていた。
そしてある時どこから情報が漏れたのか王都に仕えていると言う男が訪ねてきた。
その男は「その技術を存分に生かせる施設と金を用意しよう」と言ってきた、もちろん乗らない理由はなかったがそのかわり通常よりも強い
そしてそのデータが欲しいと、作った
わしはマユコを生き返らせるためそいつと契約した。
そして4年後、ついに通常よりも強い自然の怒りを生み出すことに成功した。わしはそれを
わしはモニターに釘付けになる。
「心臓が…動いて…動いているぞ!!!!!」
なんと心電図を記録していたモニターにハッキリと波が現れていた。
しかしそれはぬか喜びとなる。
装置の小窓からマユコを見る。
「なっなんじゃと!?」
思わず後ずさる。
そこにはマユコにまとわりつく自然の怒りのようなモノがいた。そいつは何をするでもなくただこちらを見ているのだ。
「どういうことじゃ…なんなんじゃこいつは…」
頭を抱えていると疲れからか急にめまいに襲われそのまま気絶してしまった。
気がつくと次の日の朝だった。
「…マユコ」
モニターを見ても心電図は動いておらず、あの自然の怒りのようなモノもいなかった。疲れてみた夢なのだと自分に言い聞かせた。
しかし、その現象は1ヶ月に一度のペースで起こったのである…しかもそのバケモノはその度に姿を少しずつ変え大きくなっていた。
◆◆◆
「そして今に至る…どうすることもできずただマユコを信じ気力を付与し続けておる」
「それって…」
あたしでもわかる、この人は分からないの?いや、わかりたくないんだ…
「ねぇ…もうやめない?マユコさんもこんなことして欲しくないはずだよ…」
「なぜわかる…」
「………」
「お前に突然光を失ったわしの気持ちが分かるのか?」
あたしはそこで何かが切れた。
「あんた!分かんないの!?それでもすごい研究者なんでしょ?今あんたは自分の妻の体を媒体にしてとんでもないバケモノを作ってんのよ!?」
「キサマ!マユコがバケモノだと言うのか!」
あたしはリヴァイアから降りクニヤスの胸ぐらを掴む。
「そんなこと言ってないでしょ!たぶんそのバケモノはマユコさんの体内の成長した菌が長い時間をかけて気力を付与し続けられた結果できた
クニヤスは何も言わなかった。
「頭のどこかで分かってたんでしょ…あんたもいい歳なんだから人の死ぐらいちゃんと受け止めなさい」
と言ってあたしは装置に向かう。
「おい!なにを!」
「マユコさん、あたしが解放してあげる…」
あたしは水の槍を鍵のついたところへ思いっきり振り下ろした。案外簡単に壊れ、装置が半開きになりそこから水が溢れてきた。
「…ああぁ」
あたしは装置を全開にする。
そこには機械につながれたマユコさんがいた。
「来るよ」
マユコさんの体から気力が溢れ出す。そして
ボコボコと音をたてそいつは姿を現した。
「ア"ア"ア"ア"ア"」
ヤモリのような見た目をしたそいつはきみの悪い声で鳴きながらどんどん大きくなっていく。
それはもう天井に届こうとしていた。
「これ、ヤバイかもね…」
あたしは出口の方へ走り出した。
「マユコ…」
「リヴァイア!そのおっさん達連れてきて!」
リヴァイアはうな垂れていたクニヤスを咥え、装置に繋がれていた人たちを乗せた。
「ハヅキ達も急いで!たぶんあれとんでもなく大きくなるよ!」
そうしてあたしは出口へ向かった。
◇◇◇
「あの扉っぽいな!」
と言った瞬間、扉が開いてハヅキ達が現れた。
「え?」
「よかった、無事だったのね!逃げながら説明するからUターン!」
扉の向こうを見ると
「なっなんだあれ!?」
「いいからはやく!」
「行こう
「おう」
俺たちもアオイについて出口へ向かう。その途中で何が起こったのかアオイから聞かされる。
「とにかく一旦外に出ないとここが崩れかねないの」
「そうみたいだな…」
所々に壁にヒビが入っているのが見える。
ふと少し行ったところで思い出す。
「さすがに置いてけねぇな」
と道を曲がる。
「どうしたの?」
「
真っ白な部屋に着くと俺は
その時、施設全体が揺れる。
「急ごう」
そして、ショウスケがある部屋まで戻ってきた。
「
「んあ?」
「はやく起きろとりあえずここからでるぞ」
「え?どゆこと?」
「いいから!」
とわけがわからない様子のショウスケをダイチが引っ張っていく。リュウタは俺が担ぎ、外へと出た。
更に倒れているミチナリを拾い山の外へ向かう。
「間に合ったか」
全員が振り向いたところで山が沈む。
「やっべぇなあれ…」
「目ぇ覚めたか?ショウスケ」
「あんなもん見て覚めないやついんのかよ」
それもそうだと言って山の方を見る、そこには超大型と属される大きさの
そこでインカムに連絡が入る。
〈……やっと繋がった!全員無事ですか!?〉
「はい、無事です」
地下にいたから電波が届かなかったのか…
〈現在、第2隊は少し離れています。あなた達でやれますか?〉
「…もちろんですよ」
〈了解。頼もしいですね、こちらもサポートします〉
「了解」
「じゃあ、行こうか」
と俺、ショウスケ、ダイチ、アオイ、ハヅキの5人が並ぶ。
敵を見据え
「さぁ…仕事だ」
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