第一章 「起こされた狂騒」

第一章 プロローグ「勇者を夢見る少年」 

勇者や物語の主人公というのは昔から『光の力』や『聖なる力』を持ち、その力で世界を救ってきた。

誰もが憧れ、そんな英雄たちを目指した、彼もその1人だった。


この世界の神が宿っていると言われる聖なる神殿【ウルファルス】そこで今年も10歳を迎える子どもたちに能力『気術ヴァイタリティ』が与えられる。

与えられると言っても、あくまでここでは最後の一押しをしてあげる形になる。

目覚めた能力は本能的に理解でき、目覚めてすぐ能力を使える子も少なくない。


自然の怒りナチュラルビースト』、主に植物に過剰に溜まったストレスが『気力ヴァイタル』に変換され吐き出される時に発生する怪物とされている、この怪物たちに対抗できるように子どもたちに能力を発現させていることになっているが、ほのかに陰謀論も囁かれているのも事実である。


そして、集められた子どもたち、その中に彼らもいた。


「俺は絶対勇者になるんだ。絶対に強い光の能力を目覚めさせてやる!」


「俺は炎だな!カッコよくどかーんって敵を倒すんだ!」


「私は闘うよりみんなをサポートできるのがいいなぁ」


みな、自分が目覚める能力の話で盛り上がっている。

そして遂に目覚めの儀式が始まった…


神の術式ゴッドサークルと呼ばれる陣の中心に立ち精神を集中させその時を待つ、そう、ただ待つ、能力に目覚めるその瞬間は唐突にやってくる。


みなが能力に目覚めていく、そんな中「勇者になる」と意気込んでいた少年が儀式が終わったと思われる瞬間にその場に崩れ落ちた。


「なんで…なんで…」


友達であろう2人が駆け寄る。


「どうした!ヒロト!」


月永つきながくん!?」


泣きながら少年は叫ぶ…

まるで未来の避けられぬ運命を拒むかのように…


「なんで俺の能力!『影』なんだよおおおおお!!!」

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