第一章 第15話「連携と調和」
「なんだこりゃ!?」
俺たち第2隊が気配を頼りに山の裏側へ来てみると十数体もの
「大型が5体、中型が10体はいるね….」
「これは一気にやったほうが良さそうだね、
「ん…じゃみんな
とアヤカが言うと
そして俺たちの周りに術式が展開される。
「
アヤカは属性付与術の最上位と言われている術と全身体能力強化の術を俺たちにかけた。
「よぉし!一瞬で片付けてやるぜ!」
「ありがとねアヤカちゃん」
「…うん」
「さて、作戦を言うよ。まず
「「了解!」」
俺は敵を見据えたあとユキに言う。
「ユキ、どっちが多く倒したか競争な」
「はぁ?あっこの間負けたのまだ根に持ってるんだ〜」
「んなわけねぇだろ!前と同じで負けた方が1日分の
飯奢りな!」
と言って俺は駆け出した。
◇◇◇
リクが駆けて行ったあと私も敵の方へ駆け出す。
大型へ向かいながら中型が群れているところへ突っ込む。
しかし、3体にすんででかわされる、私を睨み一気に攻めよってくる、だが私は動かない。飛び上がって迫るその3体が私の体に触れる直前で凍っていく。
「まずは3体」
と言って指を鳴らすと凍って地面に落ちていた
「アイス・ドレス」
私は氷のドレスを纏い、手に氷の爪を作り出した。
そして、リクから1日分の食費を勝ち取るためにまた狙いを定める。
◇◇◇
「さて、あの厄介なデカブツを止められますか?」
「…よゆう」
走り回って戦場を荒らしている自然の怒り、見た目は犬だが足が6本あり尻尾には鋭い爪がついてる。
相馬くんが術式を展開する。
「メルト」
奴が走っている目の前に大きな術式が現れたかと思うと一瞬にして硬い地面が沼に変わる。
もちろんそれに対応できるはずもなく奴は盛大にこける。
「リターン」
また同じ場所に相馬くんが術式を展開する、すると沼になった地面がまた元に戻る。当然奴の足も地面に埋まる。
「さすがですね」
と言って僕はゆっくりと銃を構える。
片手に2丁ずつ、僕の気術にあわせて作られた特注品だ。僕の技量しだいで弾速、なんなら弾道も制御できる。
1つの銃口から3発、計12発の弾を放つ。爆発のタイミングなど調整する必要などなく着弾した時点で爆発させる。
煙の中にはもう奴の姿はなく
相馬くんが「いぇぃ」と僕にピースしてみせる。僕も「フッ」と笑い同じくピースで返す。
「さて、彼らは…」
と振り返ると最後の1体を篠森くんが倒したところだった。
「心配などいりませんでしたね…それよりも…」
さっきからのそのそと歩いているだけの大型4体…こちらに興味すら示さず皆が同じ方角へ向かっていた。
「あちらに何かあるのか…」
すると、篠森くんと安堂くんが集まってきた。
「ユキ!何体倒した?」
「7」
「なっ…」
「どうしたの〜そっちは〜?」
「…r…く」
「何?聞こえない?」
「6体だっつってんの!」
「やった!じゃあ今度空いた時よろしくね〜あっアヤカちゃんも来る?」
「…うん」
「くっそぉぉおお!」
にぎやかだなと思ったその時、支部から連絡が入った。
〈長内隊長、あの大型4体変ではないですか?〉
「あぁ、僕も今考えてたところです。ひとつ聞きたいのですが、あの大型が向かっている先に何がありますか?」
〈えーっと…距離はかなり遠いですが方角的には王都があります。〉
「王都…」
〈何か気になることでも?〉
「…そうですね、あまり考えたくはないけれど
〈それが…王都だと?〉
「それはなんとも言えませんが…とにかくあの大型を追ってみます。危険と判断すればすぐに対処しますので」
〈了解。こちらも何かあれば報告します。〉
「みんな今の聞きましたね?行きましょう」
「「「はい」」」
◇◇◇
「グルルルルッ」
扉から出てきた
「なにこの
形は四足歩行の動物だがその顔は大きな牙に鋭いツノと何とも似つかないおぞましい顔をしていた。
そして怯んでいるうちにまた装置の中で
「ハハハッ!大人しくそいつに喰われとくんじゃな!」
とクニヤスが言った瞬間そいつが飛びかかって来る。
「
私はすかさず光球でガードする。
しかしそれをも食い千切ろうと噛み付いている、がそこへ水の龍が突っ込みそいつを壁へ叩きつける。
「ありがと、アオイちゃん」
「お礼なんて言ってる暇ないよ」
見ると、叩きつけたにも関わらずすでにそいつは立ち上がり、さらに装置から同じようなカイブツが出来上がっていた。
「あたしも本気出さないとね…」
「え?」
その瞬間リヴァイアがアオイちゃんを呑み込む。
みるみるうちにリヴァイアがより龍に近づいていく、鱗はハッキリと現れ牙や爪も鋭くなり、顔も凛々しくなった。
そして何より、首から胴のちょうど真ん中にアオイちゃんが上半身を外に出していた。
「モード
「ほう…
「こんな危ない機械に出し惜しみなんてしないよ!」
そこへ先ほど叩きつけられた
しかし、それに視線を送ることなくリヴァイアの尻尾が薙ぐ。
さっきとは威力が全然違う。飛ばされたそいつは壁の崩れる音とともに気力の粒子となって消えた。
「ハヅキはメグミさん連れて少し離れてて…あたしがなんとかする」
「う…うん」
私は言われるがまま座り込んでいたメグミさんを連れ入り口近くでアオイちゃんを見守ることにした。
◇◇◇
僕は長い廊下を走っていた。
「この部屋かな?」
と大きな扉を開ける。するとそこには大男と
「発花くん!?」
そばにより声をかける。
「…ぅるせぇなぁもうちょっと寝かせろぉぉ…」
「ね…寝言…」
この感じ発花くん気力切れみたいだな。
「そっちのは大門家の人か…このまま置いとくのはあれだし…」
と言って電気の檻をつくる。
「ひとまずはこれで…発花くんも大丈夫だよね…」
少し心配ではあったものの連れて行くことも出来ないのでそのまま先へと進んだ。
「結構広いな…」
刹那、壁を破り人影が目の前に現れた。
「なっ!!!」
よく見るとその人影は見覚えがあった。
「
「おっダイチ!無事だったか」
「なんで壁から…」
「ん?あぁ迷ってたんだ、どう行ってもこの廊下に出ないから壁をぶち破ってた」
月永くんの開けた穴をみるとその奥の部屋にも同じような穴が空いていた。
「ほんとに方向音痴なんだね…」
「ちっちがう!あいつの部屋と能力のせいで入り口が分かんなくなったんだって!」
月永くんにしては珍しく少し強い調子で返された。
「し…しらないけど…」
「そういえば、ショウスケは?ここに来るとき部屋通った筈だけど」
「敵と相打ちになったみたいで、気力切れで寝てたからそっとして置いたんだけど」
「まぁ負けてないなら大丈夫だろ…先行こうぜ」
ほんとに心配してないみたいだ…それだけ信頼してるんだろうな…僕もそれぐらい信頼されるようにならないと!
そして、僕たち2人はメグミさん達3人が向かったであろう奥へと歩き始めた。
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