第二章 第10話「最前線合同訓練」
「でっか…」
第1支部を目にして思わず声が出る。
第3の面積の2倍以上だろうか、それほどに広く、大きい。
「じゃっ頑張ってね!」
「ありがとうございました」
とここまで車で送ってくれたメグミさんが走り去るのを見送って、俺たちは第1支部へ足を踏み入れた。
「第3支部の皆さんですね、こちらで手続きをお願いします」
入ると受付の人に呼び止められ、合同訓練参加のサインや3日間泊まる寮の手続きをする。
「そういえば、
「あぁ、支部長は別件でこちらには来れないと言ってました…」
嘘だ、支部長は特に用事などは無かったが行かないと言って一切動かなかった。
「そうですか…分かりました、ではもうすぐ開会式が始まりますので待機していて下さい」
「了解です」
そして俺たちは屋外フィールドに通された。
広い、第1支部の訓練所か何かだろうか100m×150mはある。そこにはすでに他の3支部の新人たちが各々固まっていた。
その中に見覚えのある顔を見つける。
「おい、ショウスケ」
「なに?」
俺はその銀髪で低身長、そしていわゆるゴスロリと言った服を纏っているそいつを指差す。
「げっ!」
ショウスケの顔が一瞬で歪む。
すると、あちらもこちらに気づいたようでウィンクしたり投げキッスをしたりしている。
「なんで、あいつが居んだよ」
「そりゃまぁ最前線に配属されたんだろうぜ」
そう、彼女は俺たちと同じ学園の元生徒でショウスケのことを異常に気に入っている、“
「開会式前から嫌な予感しかしねぇ…」
〈これより開会式を始めます、4支部の皆さんはお集まりください〉
アナウンスに呼ばれ中央に集まり、整列する。
「皆、おるようだな」
マイクの前には頭は禿げ上がり、白い髭を長々と伸ばしている老人がピンッと背筋を伸ばし堂々と立っていた。
凄まじい存在感…立っているだけなのに隙がない、そうこの老人こそサブサイドの本部長“
「ふむ、皆良い面構えをしとる…若いとはフレッシュでいいのぉ!ファッファッファ!」
…思っていたよりフランクそうで少しホッとする。
「良き武闘を期待しておるぞ、そしてそれが素晴らしかった者にはワシから異名を授けるでの…特に語ることは無い、皆の闘いを早く見たいでなこれにて開会式は終了じゃ」
な、なにもしてないが…堅っ苦しいよりはいいか…
そして、解散したあとチーム分けを考える。
「今日はタッグバトルと競技だよね」
「そうだな、タッグは俺とショウスケで行くか?」
「いや、たまには違うペアも面白いと思うぜ?俺とアオイとか」
「確かにそのペアは見たことないね」
特に迷うことなくそのまま、タッグはショウスケ&アオイペア、残りの3人で競技へ出ることになった。
「競技って何するの?」
「今から発表されるみたいだよ」
先に競技から開始されるらしく俺たちはフィールドへ出る。
〈これより競技の発表とルール説明をします、出場される方はフィールドの中央へ〉
4支部計12人が集まる、その中には不動院リサもいた。
「ねぇあれリサちゃんじゃない?」
ハヅキがコソッと聞いてくる。
「そうだよ、さっき気付いてショウスケが病んでた」
「ちょっとまずいような…」
「ん?何?」
聞き取れないほど小さな声で聞き返そうとしたところで説明が始まる。
「まずは競技の発表です。競技は「玉転がし」このフィールドを往復してもらいます。速かったチームから1位となります。1位が20ポイント、2位が15ポイント、3位が10ポイント、4位が5ポイント加算されます。
そして、ルールですが他チームへの妨害有り、ですが玉への直接攻撃は禁止、それをすると攻撃したチームの玉が10秒間動かなくなりますのでご注意ください。」
玉転がしと聞いて少し拍子抜けしたが“妨害”、それがネックか…
「さらに自チーム玉への
動かなくなる時間は禁止行為をすればするほど上乗せされていきますので、そして最後に、玉は触れている人数が多いほど軽くなります。」
妨害を防ぎつつ3人で速く押すか、妨害しつつゆっくり転がすか…そんな感じだろう
「それでは皆さんスタート位置についてくださいね」
白いラインに第1支部から第4支部までの12人が並ぶ、そしてその前には2mほどの大きな玉…
「基本的には妨害を防ぎつつ3人で押そう、たぶんそれが一番だと思う」
「そうだね、下手に攻撃して玉に当ててもダメだしね」
「ハヅキは常に防御態勢、俺とダイチで妨害の対応でいこう」
「「OK!」」
「それでは!競技【玉転がし】!始め!!」
その時の俺は考えが甘かった…支部長が言っていた「ぶちのめされる」の意味…それを知ることになるのだから…
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