第14話 俺の中での女性の胸の大きさの割合はそれほど大きくないがしかしながら将来性を考えた時に自分の赤ん坊がどうだと喜ばしいかを考えた時、やっぱりどうでもいいことだなと思い悩むのを止めた

「よく来たな」


 そこには一人の、水色のビキニを着こんだ女性が仁王立ちしていた。残念ながら胸は無いので、腕を組んでも押し上げられない。むしろ隠しているように見える。


「私は一の間の番人、春子はるこ

「四の番人までいそうな名前だな」

「たまたまかもしれないっすよ。実際聞いてみたらどうっすか?」

「そうだな。佐藤――『』。あと何人、どれだけの間があるのか答えろ」

「三人。四の間までです。……ハッ!」

「ご苦労。佐藤――『』。そのまま地に伏して降参していろ」


 ドスン、という音が響き、目の前の少女が地面に横たわる。胸が薄いからかがむと見えそうだった。見えなかったけど。何故だ。

 悔しい気持ちを押さえて前を向く。


「さて一の間はクリアした。次に行こう」

「はいっす」

「……」


 返事が一つ足りない。

 振り返ってみると、やすみちゃんがむくれていた。


「……次、私がやるって言ったのに」


 唇を尖らせていじけている。


「私の活躍を見せるって言ったのに……私だったのに……」

「ごめん。本当にごめんなさい」

「……ふーんだ」


 そっぽ向かれてしまった。何これ。言動がすっげー可愛い。あざと可愛い。


「姫子よ。見ろ。これがヒロインだ」

「あざといっすねー。狙っていないにしてもあざといっすねー」

「それを煽る方が人気出ないぞ」

「もういいっすよ。私はただのモブ族モブ山モブ夫さんっすよ」

「女性だからモブ子ちゃんだけどね」

「……そうやってすぐに二人で仲良くしてずるい……」


 やすみちゃんが地面に「の」の字を書く。


「あー、ごめんごめん。次こそはやすみちゃんの出番にするから。俺は手を出さないから」

「……本当?」

「うん。本当本当」

「……分かった。じゃあ絶対だからね」


 ぱぁっと表情が明るくなる。そこは年相応……いや、年よりも少し幼い感じである。本能がくすぐられる。

 その彼女の意向を汲むため、奥にある階段を上り、次の部屋へ繋がる『二の間』と書かれた扉を開けた。

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