第8話 やっぱり堕天使だった。

僕は鍛冶屋兼冒険者になった。

それから2週間がたった今、 僕は街の鍛冶屋で剣を研磨し、熱を入れハンマーで叩いていた。



「お疲れ様!!もう上がっていいぞ。」

1人の大柄の大将が僕に言ってきた。僕が研磨した剣を大将が見た。


「いいね。最初よりもだいぶ良くなったよ。いい感じに研磨できてる。」


僕は大将に頭をぺこりと下げた。それはそうだ。2週間の間に鍛冶屋の研磨スキルが今、15段階中3にレベルアップしているからだ。



「それじゃこれ、本日分の給料。また働きたくなったら来てくれよ。」



僕は大将に頭を下げ、お店を後にした。そして、ギルド付近にある鍛冶屋ギルドが経営している宿舎に向かう。


幸い周辺にモンスターが多い。そのため鍛冶屋は意外と儲かっているらしく、宿舎も経営してるそうだ。

事情を説明したら、鍛冶屋ギルドに加入したら1日100シェルのところ20シェルで泊めてくれるらしい。

忙しい時には鍛冶屋として出勤しないといけないのだが……、背に腹はかえられない。

日給が今のところ、100シェル。宿を借りてもお釣りが返ってくる。初心者には貰えている方だがもう少し欲しい。


けど、ジョブが鍛冶屋で正直良かったと思う。

日々のスキル向上とスキル自体に関してもそうだが、何より宿がある安心感。


後で聞いた話、冒険者ギルドというものは存在するのだが、この世界では冒険者=フリーターとの扱いがされている。

そのため冒険者ギルドに入ったとしても、宿は高い日雇いの給料は安い。

スキルに関しても他のジョブよりもかなりの経験値が必要など、デメリットだらけだ。

この街の冒険者のほとんどは、馬小屋で寝るか、大人数が集まって小さい部屋を借りるか、野宿という選択肢が待っているらしい。


そりゃそうだよな。どのRPGのゲームにしても宿に泊まる際にはお金がかかってたし、どこの世界でも何かを得るには対価が必要だしな。


程なくして宿舎に戻ると、ミキエルが待っていた。



「ごはんまだー。お腹空いたんだけど。」



「出来てるわけないだろ。それにお前も働けよ。」



「働いたら負けだと思ってるので。」



親指を立てドヤ顔で普通に言ってくる。普通にニート宣言された。この堕天使は異世界でもニートになるつもりなのだろうか。



「今日は遅いからギルドで何か食べようぜ。」


ミキエルは羽を出し、満面の笑みを浮かべた。

「いいねぇ。私ハンバーグ食べたい。」



そんなのこの世界にあるのか?と思いつつ、僕とミキエルは部屋を後にし、酒場のある冒険者ギルドへ向かった。

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