第29話魔道具の作り方。

 僕たちは採取クエストを終えてから1日が経過した。結局、報酬は4人で山分けした。

ちょんちょんと鳥のさえずりが聞こえる。3人はまだ寝ているみたいだ。

昨日は頑張ったんだし、このまま寝かせておくか。

 僕はリビングのテーブルに行き先を書いた紙を置き、僕は頼まれていたものを手に持ち、目的の場所まで向かった。



 毎度恒例のマネキンが見える。今回はワンピースを着させていた。毎回思うが魔道具屋辞めて、雑貨、服屋に転職したほうが人の入りは断然良くなると思う。

そう思っていると、せっせと店準備にいそしんでいる女の子が見えた。



「よう。おはよう。朝から早いじゃねーか」



「ふーん。貴方もね。約束の物(ブツ)はちゃんと持ってきたのかしら」



やくっしーは作業を一旦手を止めて、こっちに向かってきた。あごを上げてドヤ顔でこっちを見てくる。



 僕は以前約束していた、【エメラルド】をやくっしーに見せた。



「うわー。本物じゃ……、ゴホン。やるじゃない。それをこっちに渡しなさい」



「断る。お前、ゴブリンの中心部にしか手に入らないって知っていただろ」



「うっ……。まあいいじゃない。約束は約束よ。魔道具の作り方教えてあげるから、早くこっちにエメラルド渡しなさいよ」



「エメラルド3個だ。それでなければ割に合わない」



「はー。なんでよ。5個って約束したじゃない。うーん、それじゃ4個でいいわ」



「いや、3個だ。エメラルドは貴重なものらしいしな。魔道具ならば他の人に教えてもらえればいいしな」



「ぐぬぬ。わかったわ。この魔道具をつけてあげる。エメラルドは4個でいいわ。これでどう。破格の交渉よ」



 やくっしーは店の中から、指輪を出してきた。キラキラしている。中にはエメラルドぽいものが小さいながらキラリと光っていた。女性ものみたいだ。



「これを身に着けているだけで、魔力が大幅にアップする優れものよ。指輪のデザインからして女性の魔法使いの方がよく買いに来るわ。あとは……、結婚指輪としてもおすすめよ」



 交渉してみるもんだ。僕が思っていたとおり、エメラルドは高価なものだったらしい。

魔力が高まるならば是非とも着けたいが、デザインが女性もので僕が使えないのは残念なところだが。

あとで、リリィにでもプレゼントしてやるか。



「うーん。交渉成立だな。それじゃ約束通り、魔道具の作り方教えてもらおうか」



「いいわ。それじゃこっちに来なさい。あなたに指導してあげる。この私が教えるのだから失敗は許さないわよ」



 やっくしーはそう僕に告げると、魔道具店の看板をオープンからクローズに変えた。そして奥の部屋へと案内してくれた。



「ここが魔道具を作る機械よ。ここで考えてたイメージを形にして、エメラルド……、魔力が少量ほど入った石を使い本物の魔道具にしていくの」



「エメラルド使わないのかよ。使うのかと思って持ってきたのに」



この悪魔(やくっしー)。大量に魔道具があるのに高価なエメラルドを使うなんておかしいと思ったぜ。

交渉していてよかったと、今更ながら僕は思った。



「仕方ないじゃない。高価なものなんだから。エメラルド自体は魔力も高いし、何より女性からの商品価値は非常に高いの。だから私たち商人からしたら、喉から手が出るぐらい欲しい一品なの。持って帰ってくれてよかったわ」



僕は、やくっしーをじっと見ている。もう一度交渉してエメラルド2個にしてやろうか。



「何よ。貰ったものはもう返さないわよ。うっ、魔道具の作り方教えないわよ」



 僕は談笑しているうちに、目の前にあったパソコンぽい機械が起動した。

 やくっしーは目をつぶって画面に手を当てた。すると手が光を見せて、画面に指輪の形をした画像が出てきた。

マウスでその画像を動かしながら、カタカタと調整している。

終わったみたいだ。やくっしーは深い息をはいて、ボタンをクリックした。

押した瞬間に3Ⅾプリンターみたいな機械から、指輪が出現した。



「なにこれ。すごい。もうこれは魔道具なのか?」



僕はつい胸がときめいた。なんだよあれ、魔道具ってこんなにも簡単に作れるものなのか。



「まだエメラルドを加工してないから完成ではないけど、ほぼ魔道具の器は完成よ。ほぼ完成の近いわね。

もう教えたから、マサルも使えるわよ。あとは、自分のスキルカードから『魔道具加工』を取得すればいいだけだわ」



 僕は自分のカードを出す。確かにスキル表示に『魔道具加工』ってスキルはあった。

ポイントは5、現在ポイント8。取得しよう。えい。

取得は完了したみたいだ。感覚的になにも感じなかったが、スキルは所得したみたいだ。



「それじゃ、自由にこの機械を使っていいわよ。私はお店を開けないといけないから。帰るときは一言言って帰ってね」



 やくっしーはこの部屋から出ていき、お店の準備に向かった。



「仕方がない。何か作ってみるか。うーん。どんな魔道具がいいのだろうか」



僕はイメージを考えながらため息を吐いた。



考えていても仕方がない。うーん。ガン〇ムでも作ってみるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

堕天使とドタバタ異世界ライフ 誠二吾郎(まこじごろう) @shimashimao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ