第24話採取クエスト。
そこは以前、初めてエミリーと出会った場所を超え、山の中間付近まで来ていた。
目の前には大きな洞窟の入り口が見える。中は暗いようだ。だが、ゴブリンがいるようで所々、灯りが灯っている。
僕たち一向は、最奥地にある金剛草を取りに行くのだが……。
「はぁはぁ。なんでこんなに遠いのよ。全く。羽根がなければ、もう帰ってたわ。」
「羽根いいですねー。私も出したいですー。でも出したらドラゴンに戻っちゃいますー。」
「出しちゃいなさい、っていうつもりだったけど、今回は出したらダメ。出したら絶対にダメだよ。せっかくの巫女衣装が台無しになるから。」
「わかりましたー。フリですねー。」
エミリーが急に力を込め出した。身体全体から気を溜めている感じだ。周辺がざわつき始めた。
「ダメー。私の巫女さんが。」
「ウソですー。やりませんよー。せっかくの衣装なので。」
「エンジェルアタック!!!」
結局、エミリーのカウンター防御でミキエルの方がダメージをくらったみたいだ。一体なにをやってるんだか。
『ごぞ、ごぞごぞ』
?。いま何か居なかったか?
「マサル。もう洞窟に入るわよ。早くしなさい。我が力を示す時よ。」
リリィが呼んでいる。まぁいいか。今すぐ行くよ。
中に入ると、洞窟の中は湿っぽい。ゴブリンはいつもこの場所にいるのだろうか。
「ゴブリンは悪魔族なの。悪魔は湿っぽいのが好きだからここに住み着いてるのよ。悪魔は倒さなきゃ。」
ミキエルが手を握り拳を作っている。珍しくやる気になっている。
「いや、倒さないぞ。金剛草とエメラルドを取ってすぐ帰るぞ。面倒ごとは嫌いだ。」
ミキエルが口を膨らみながら、ぷかぷかと浮いている。常にダラダラ症の堕天使(ミキエル)でも悪魔に対抗心があるのだろうか。
歩いて行くうちに上に上がる階段があった。階段を登ると、ウサギぽいモンスターが現れた。
「マサル。気をつけなさい。このモンスターは強力よ。可愛い顔して体当たりする、肉食モンスターのミミガーよ。」
リリィがモンスターの詳細を教えてくれた。なにそれ怖い。可愛い顔して肉食って、さすが異世界の洞窟ってことはある。
突然、ウサギのモンスター(ミミガー)はリリィに突進してきた。リリィは華麗に避けた。避けた瞬間にライフルを構え、ミミガーに狙い撃つ。見事にヒット。ミミガーは横になって動く様子はない。
「これがレベル差よ。どうマサル、褒めても良いわよ。漆黒の翼に所属していた私の闇のち・か・ら。」
「凄いじゃねーか。ライフルのヒットはさすがリリィって思ったね。それより漆黒の翼?」
「あ、漆黒の翼は嘘だよ。かっこつけるための演出……。こらほっぺを引っ張るのではない!!」
リリィが中二病ぽいことを言っていたのでほっぺを引っ張った。プニプニだ。
だけど、ライフル1発で倒せたとかここでのリリィは安心感がある。これはリリィ頼りになるのか?。
僕は悪魔(やくっしー)から借りた検索機で金剛草の在り方を見てみる。もう少し階段を登ったところに反応があった。もう無事このミッションは終わりそうだ。
「よし、あの階段を登ると目的なものがあるぞ。このまま金剛草とエメラルドを取って帰ろう。……
ところでミキエルさんなにやってるんですか?」
ミキエルは壁に向かって、手に力を込めている。
「すんすん、すんすん。この近くに悪魔の匂いがプンプンするのよ。ここかな?エンジェルパーンチ。」
パンチは光り輝き、壁に放たれた。放たれたパンチの衝撃波で壁に穴があいた。
なんちゅう馬鹿力だよ。岩の壁に穴があいたぞ。
「天使は皆が祈る力を基本にしてるのよ。ワンパンは必須よ。」
まじかよ。天使ってこんなに強いのか。ミキエルはやってやったぜという顔でドヤ顔している。
リリィが壁の穴に近づき、腕組みして穴を見ている。
「ここ壁は別のエリアにつながってスカスカだよ。まさかこの近くに別空間があるとはな。」
「……。」
恥ずかしくなったのか、ミキエルは黙ってしまった。耳まで真っ赤だ。
「もう行くわよ。みんな早く。」
ミキエルはみんなを急かした。僕も上の階段を登ろうとした瞬間、一歩踏み込んだその瞬間だった。
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