第19話スキルポイント。

冒険者ギルドに着いた。リリィとエミリーは冒険者受付場に向かった。女騎士としてエミリーを登録するために来たのだ。リリィはその付き添いである。


僕はその隣の酒場でミキエルと待っていた。



「ねえねえ、マサル。ここのアイスクリーム頼んでいい?」



「それじゃ全員のも頼むよ。お金渡すから。」



「ありがとう!!それじゃ行ってくるね。」



ミキエルはるんるんと気分を上げて、売店に向かった。



僕は3人を待っていると突然、酒場のテーブルから人の噂が聞こえて来た。

若い男2人組だ。同じ冒険者なのかな?



・・・



「おいおい。知ってるか?最近、この山奥に魔王幹部が引っ越して来たらしいぞ。」



「なんだって、それじゃ街の外は危ないんじゃないか?」



「気をつけた方が吉だな。近く、帝都から騎士団がくるらしいぞ。騎士団長がなかなかやる噂らしいぞ。それまでこの街で待機だな。」



「騎士団がくるのか。これは安心だ。最近じゃ街の外にアンデットが大量にいるもんな。取り憑かれないためにも今から教祖様に会いに行こうぜ。」



「そうだな。取り憑かれないように、念じてもらわないとな。」



・・・



「最近、魔王幹部が引っ越して来たのか。なんの用事だろう?」

始まりの街にわざわざ引越しにくるのか?物騒だな、と疑問と心配が混じり合いつつ、今のレベル的に僕には関係ないねと心で思ってしまった。



そうしているうちに、リリィとエミリーが帰って来た。


「無事女騎士としての登録は終了したよ。これでエミリーは騎士のスキルを覚えられる。」



「ありがとうございますー。頑張りますー。」



今回は言えたみたいだ。大抵、ますー、で噛むのだが。



「それはそうと、エミリーのステータスはどんな感じなんだ?やっぱりドラゴンのステータスが反映されるのか?」



「それはならないそうですー。見たら人間の姿のステータスで人並みに強制的に改変されてました。」



そうなのか。てっきり、そのまま載せられているのかと思った。



「多分、同族の者の仕業だと思いますー。ドラゴンだとバレたら即捕らえられるので、ステータスは改変されたのだと思うのですー。」



ドラゴンって一体。まぁ見つかれば捕らえられるのだったら、中には守ってくれるやつもいるだろう。

それはそうと……。


「リリィは何を大事そうに持っているんだ?」



リリィは手で大事そうに抱えながら、持っていたものは一升瓶ほどの酒瓶だ。



「バレてしまったか。エミリーが騎士として登録する際、偶然にも10000人目の登録者だったので達成記念にもらえたんだ。しかも銘酒も銘酒。『吉幾三』これを口にしたもの全員が、もう他のお酒は飲めないと口にするほどの超絶品銘酒だ。うーん。早く蟹と一緒に飲みたい。」



「お前も未成年だろ。僕と近い歳だし。」



「?。もう私は立派な大人だぞ?。15歳から立派な大人で、13歳から結婚も出来るぞ。」



なんだと。リリィの言葉に衝撃が走った。15歳で立派な大人か。日本の違いを痛感した。まだ僕はお酒も飲んだことないのに。



「うーん?この表情だとお酒飲んだことなさそうだな。さて、私が指導してやろうか?お子ちゃま。」



「なんだと!!。お酒ぐらい飲めるわい!!」



「それじゃ勝負してみない。今日はエミリーが女騎士になったばかりだし、ご馳走の蟹もあることだし。買ったほうが、今夜の酒代を払うことどう?」



リリィが挑発している。ここは冷静を保たないと。

僕は冷静に一息入れた。その時リリィが一言言った。



「逃げるのね。男が廃るわよ。」



「勝負だ!!」


僕はリリィとの勝負に受けてしまった。そうしているうちに、ミキエルがアイスを持って帰って来た。



「ありがとうですー。気が利きますね。」



「やるじゃない。でも勝負は別よ。」



「もう一個買って来ていい?いいわよね。もちろん、お金はマサルのお金で。」


1人おかしな奴がいるが放置だ。もちろん買わない。



「それはそうと、私のレベル3になってたよ。スキルポイントが5ポイント入ってた。」



ミキエルが言っている。スキルポイント?なんだそれは?



「あれ?知らないのか?もしかして受付嬢が伝え忘れてたのか?仕方ない、アイスのお礼だ。教えてやろう。」



リリィが優しそうな口調で言ってくる。うーん。確か、スキルについて言ってた気もするが、あとで聞けばいいかってなって忘れてた。



「スキルとは自分が持っている能力(効果)のことだ。取得していると人より差を出すことができる。

私だったら魔法銃だから、高速連射のスキルを取得したらそれが出来るようになる。

ポイントはその経験分が反映された結果になるんだ。だけど、誰彼かまわず私と同じようにやったとしても取れるポイントは人によって変わってくる。

それはそうだ。人には得意不得意は存在するからな。

必ずこれをやったことによって、全員が統一で10ポイントくれることはないんだ。頑張ったとしても身に付かなければポイントは低いし、頑張らなくても身についたらポイントは高い。

当然、ジョブによっても関係がある。関係ないスキルはポイントが高いし、場合によっては取れない時がある。

なるべく、ジョブに近いスキルやスキルに関して得意なこと、好きなもののスキルを取得した方がお得だ。スキルは他人にやり方を見せてもらい頭で理解出来たら、あとはポイントを支払うだけだ。」



丁寧に説明してくれた。リリィが言ったように進めると、鍛治スキルと冒険者スキルか。好きなことは読書だが、他には何あったけな?



ちなみに僕はレベル5になっていた。ミキエルよりも蜘蛛を退治したぶん上がっていたらしい。



「ちなみに私はレベル6で、このパーティに中では一番上なのだ。」



リリィは自慢げにドヤ顔した。カードを見せびらかしている。



僕は自分のカードを見ながら、どうしようと考え込んでいるとリリィが言って来た。



「まぁ考えたところで今日は出てこんよ。それより早く蟹と晩酌といきましょう。」



リリィの顔がニアニアしている。まるで夜の晩酌を楽しみにしているおっさんだ。

たしかに僕も蟹は楽しみだ。甲殻類は大好物の部類だ。



「それじゃいきましょう。蟹が待っている。蟹蟹。」

ミキエルが上機嫌になりつつ、4人は宿舎に帰宅した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る