第10話 蜘蛛の糸。

街をはずれ、林を抜けると湖と宮殿が見えてくる。それに似つかわしくない蜘蛛の糸が所々に絡み付いている。

蜘蛛自体にはあまり害はない。が、その蜘蛛は大量の糸を吐くため住民から苦情が着ているとのこと。

今回のクエストは蜘蛛の討伐5体。巨大蜘蛛の下位モンスターだからなんとかなるか……?


「さっさと倒して報酬もらいましょう。」


ミキエルは羽根を出しながら、プカプカと飛んでいる。



「楽そうだな。その羽根。いいな。」


「良いでしょう。私はこれからこのスタイルで……。」



糸か急に目の前に飛んできた。目の前には軽自動車級の蜘蛛が1体いる。



「うぎゃーーーーーーーーーー。」

いきなりはいけない。いきなりは。急だったので叫んでしまった。



「何叫んでるのよ。ビビりね。私に任せなさいよ。」

手を上にあげ、手の周辺が光り出した。そして弓を出した。

「届け。天使の名の下に、エンジェルアロー。」



ブスっと蜘蛛のお腹の周りに矢が刺さる。


「これぞ私の力!!お茶の子さいさいね。これでこのクエストは……。キャっ」

ミキエルの身体に糸が巻かれていく。次第にぐるぐる巻きになっていく。

糸を出している間、蜘蛛は動いていない。これはチャンスか?



おりゃ!!僕は持っている短剣をお腹に刺し、刺したところをハンマーで殴りまくった。

………なんとか倒せたようだ。ハアハア。


ミキエルはと言うと、なんとか身体に巻き付いていた糸を退けられたようだ。


「グスっグスっ。天使を舐めるんじゃないよ。私はこれでも女神の妹……。」



ガサゴソ。さっきと同じぐらいの蜘蛛が現れた。


「よくもさっきはやってくれたわね。もう怒った!!プンプン。天使の必殺奥義、エンジェルアタック。」

羽根を大きく振り上げ、蜘蛛に向かって体当たりをする。

しかし、蜘蛛はあっさり避けて、ミキエルの身体に糸を吐き続ける。みるみる内にくるくる巻きになっていく。



「ぎゃーーー。助けて、マサル!!ぎゃーー。」



「待ってろ。今すぐ助けに行くから!!!おりゃ。」



・・・



なんとか2体は倒せたのだが、ミキエルが泣きじゃぐっている。

「グスン、グスン。もう蜘蛛は怖い……。」


完全にトラウマになっている。本当に怖いのか、僕の服を手で引っ張っている。

どうせなら服じゃなくて手にしてほしいところだが。

服も身体も土に汚れてボロボロだ。


「お風呂でも行くか。大浴場。」


「うん。グスン。行く。」


服を引っ張る力が強くなる。この調子だと厳しいかもな。クエスト達成は厳しいか?


お風呂に入り、食事兼反省会が始まった。

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