予言とか信じちゃうウブなハートを狙い撃ちw
アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利して約2ヶ月が経過した。
当初、まさかの結果にヒステリックな反応が起こり株価が大幅下落。様々な流言が飛び交った。
最初に飛び出したのは、ノストラダムスがトランプ氏の大統領就任を予言していた、というもの。
「恥知らずで大胆で非常にやかましい人物が、軍の統率者に選ばれる」
(詳細は「ノストラダムス トランプ」で検索を)
というのがそれだというのだが、そもそもこれは今までアドルフ・ヒトラーの登場を予言したものとされていた。
このことからもわかるように、どうとでもとれる内容を後からこじつけているのが予言と呼ばれるものの本質である。
トランプが大統領戦に勝利した瞬間にこのようなデタラメが流布するのは、なぜだろうか?
それはもちろん、人々が信じたがるからである。
多くの者が、好ましくない人物が大統領戦に勝ってしまったと思った。なぜ? と思った。アメリカ人ってアホなの? と思った。だからこそ、その思いを補強するような思想や論説を見ると、「我が意を得たり」とばかりに拡散する。今のネット社会、広く拡散した情報こそが正しいものであり、真の意味での真実性はあまり気にされない。
この予言の場合、トランプ氏のように下品で恥知らずな人間が当選してしまったという現実に対して、「かのノストラダムスが予言していたのだから仕方がない」という理屈をこじつけてでも、人々は何らかの答えを欲したのだ。
しかしながら、この流言は思ったほどは拡散しなかった。ノストラダムスについてちょっとでも知識があれば、この有名な予言はヒトラーのことをあらわしていると言われてきたことを知っている。いささかこじつけが過ぎたのだ。
そのかわり、当時もっと拡散していた流言があった。
通称ブルガリアのノストラダムスことババ・ヴァンガ女史(故人)が、こんな予言をしていたというのだ。
「第44代のアメリカ大統領はアフリカ系アメリカ人であり、最後の大統領となる。経済的な危機により第45代の大統領は就任を阻まれるだろう」
(詳細は「ババ・ヴァンガ トランプ」で検索を)
これは、効いた。
好ましからざる人物は大統領選に勝利したが、結局は大統領の座に就くことはない。
トランプ氏の勝利に眉をひそめていた人々にとっては、「そうなって欲しい」未来を代弁してくれる「ブルガリアのノストラダムス」が登場してくれたのである。そりゃあ、みんなが喜んで飛びつくってものだ。
しかし、その後この流言がどうなったかは、みなさんご存知の通り。
今や、人々の記憶から抹消されてしまったかのようだ。
それも当然である。
当初の集団ヒステリーは落ち着き、株価はV字回復した。もっとも、トランプ氏のツイートひとつでとある自動車メーカーの株価が下落するなど、不安定な要素も残ってはいる。しかし、当初の過激な発言は減り、思ったよりもマシなことをやるかもしれないという期待感が広がりつつあるのだ。
そんな状況に、経済危機でトランプ氏が大統領になれない、という予言は合わない。人々が、そのような予言を必要としていないのだ。
大衆の思考は、えてして単純である。
単純であるがゆえに、操作されやすい。
フィクションでいいのだ。信じたいものを、まことしやかに語ってくれる人さえいれば、それでいい。
共同幻想におぼれて現実には目をつぶる。
それが人間の根幹をなす行動原則であると言っていい。
さて。
そんな人々のウブなハートを狙い撃ちにしているのが、我々フィクション・ライターである。もっとも、我々はフィクションだと宣言しているのだから、いたって善良だ。フィクションを現実だと騙って扇動するような、悪どい真似はしない。
フィクションはフィクションらしく、あくまでも妄想の中に存在していてくれればいいのだ。
というわけで、フィクション・ライターらしく、現代日本にマッチする予言をきっちりと妄想してみようじゃないか。
現代日本人の多くが抱えている「こうなって欲しい」は何か。
ぱっと浮かぶのは、格差社会の解消だ。
よし、その線で行こう。
ここでは、資本主義に悪者になっていただく。
資本主義は英語でCapitalism。これはCapitalという単語にismという接尾語がついたもの。Capitalは語源に向かってCapita、Caputと変化していく。Caputはラテン語で頭の意味。もともとは牛の頭という意味があったのだとか。
「牛の頭を旗印にした支配者たちは仲違いをして、共倒れする」
こんな感じでどうだ。
次は、その後のこと。
もちろん、何かよりよい未来が待っているような希望を持てる内容にすべきだ。
格差が解消された状態は「平等」だろう。平等は英語でEquality。これも言語に向かっていくと、Equal、Aequalisとなる。Aequalisはラテン語で「均等」という意味がある。釣り合いをはかる道具は天秤をおいて他にはない。となると、こうか。
「天秤座に集いし賢者たちがその廃墟に新たな城を建てる」
最後は、読み手である日本人に当事者意識を持ってもらおう。
マルコ・ポーロから「黄金の国」という表現をいただく。
「黄金の国が世界の中心となり、人々は幸福を見つけるだろう」
以上、つなげると、こうだ。
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牛の頭を旗印にした支配者たちは仲違いをして、共倒れする。
天秤座に集いし賢者たちがその廃墟に新たな城を建てる。
黄金の国が世界の中心となり、人々は幸福を見つけるだろう。
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うーん、なかなかの出来栄えw
でも、もうひと押し欲しいところだ。
通常、予言は成就の日付を入れるとはずれるものだ。
ノストラダムスの「1999年第7の月」は、そのいい例だ。もともと後知恵のこじつけなのだから、不確定な要素が多いほうが当たったことにしやすい。その意味では、具体的な日付をはじめとした数字のたぐいは、予言では最も避けるべき要素なのである。
が、ここは妄想の世界。
もっと具体的な数字を入れて、なんとなく信憑性を高めてみよう。
マヤの暦が終わったとされるのは2012年。それをネタにしてみるか。
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暦の終わりより数えて5度目の夏に、大きな争いが起こるだろう。
牛の頭を旗印にした9人の支配者たちは仲違いをして、共倒れする。
天秤座に集いし4人の賢者たちがその廃墟に新たな城を建てる。
黄金の国が世界の中心となり、人々は幸福を見つけるだろう。
—————
これこそが「今年になって発見されたノストラダムスの新予言」であるw
2017年夏、ノストラダムスの予言が現実に。
旧時代の支配者9人と、新時代の導き手4人が、未来を賭けて戦う!
Coming Soon…(大嘘)
嗚呼、素晴らしき哉。
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