目からウロコのトラウマ克服法

誰しも、思い出したくない記憶のひとつやふたつはあるだろう。

私には両手で数え切れないほどの消したい記憶がある。中でも、思い出すだけで死んでしまいたくなるような強烈な負の記憶もいくつかあり、こういったものを俗にトラウマと呼ぶのだと理解している。


もちろん、どんなに努力したところでトラウマは消えてくれず、どこまでも私につきまとう。そこで、トラウマとうまく付き合う方法を考えることにした。

「言霊」というものがあるので、呼び名は重要だ。呼び名を変えてみようではないか。


トラウマという言葉の響きが、なんともよろしくないのだ。

ギリシャ語で「傷」という意味なのだそうだが、日本語でいえば「虎」と「馬」である。

なんか強そうだ。

こんなのに直面したら、絶対に勝てそうにない。馬に蹴られて虎に食われるイメージしか浮かんでこないではないか。虎馬の圧倒的な力の前に屈服してしまい、負の記憶に押しつぶされるのが目に見えているではないか。


で、トラウマを「イヌネコ」と呼び変えることにしてみた。

愛玩動物のトップ2の名前を冠してしまえば、怖さよりも可愛らしさのほうが全面に出て、心理的にも同居に適した存在へと変貌してくれるはずだ。

いや、可愛らしさを追求するなら、もっと他にもいいものがありそうだ。


「ヒヨコ」

うん。ふわふわしててかわいい。ひらがなで「ひよこ」と表記すると、よりラブリー度アップだ。いいぞ。

……と思ったが、成長するとニワトリになるんだよな。うるさいし、つつくし、ちょっと危険かもしれない。


「パンダ」

うん。これもなかなかのラブリーさだ。

でも、たとえ笹しか食べないといっても、実態はクマなのだよな。漢字で書くと「熊猫」だし。

やや怖い。


「もふもふ」

これでどうだ。

具体的な動物の名称をなくし、動物のラブリーな面だけをピックアップしたこの言葉なら、アンチ虎馬の急先鋒として大活躍してくれそうだ。

大丈夫。虎も馬も、部分的にはもふもふしている。間違いではない。


ということで、本日より「トラウマ」は「もふもふ」となりましたので、よろしくお願いしますw


なお、私のもふもふのトップは、海外旅行先で睡眠薬強盗に遭ったことである。

このもふもふのせいで、私は他人をまったく信用できなくなった。人間社会において、極度の人間不信という業病を抱えていることは、誠に生きにくい。


少しでいいのだ。

このもふもふを乗り越えて、私は人を信じられるようになるだろうか?


うん。

虎と馬だと乗り越えられそうにないが、もふもふなら行けそうだ。


まあ、もう少し頑張ってみますよ(^^;)



嗚呼、素晴らしき哉。

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