月の裏側にいる君へ贈る恋文
真昼間の13時だというのに、月が見えた。
半月より少し欠けた、ぽてっとしたクロワッサンのような形の月だった。
月は大きくて明るいので、他の星々と違って昼の光にかき消されてしまうこともない。まさに、私たちの暮らす地球のパートナーにふさわしい、すばらしい存在感である。
月の存在が地球上の生物進化に非常に大きな意味を持っていたという説を聞いたことがある。
一定の確率で近づいてくる巨大隕石を、月が受け止めてくれているのだという。月がなければ、恐竜を絶滅させたような隕石の地球への衝突は、もっと頻繁に発生していたはずなのだとか。
生物が進化するのに十分な期間、知的生命が文明を育むのに十分な期間、隕石の衝突による環境激変に見舞われずに済んだのは、月が盾になってくれたからなのだ。
そう考えると、月は地球を守る騎士のようなものだ。その身に無数の傷を負いながら、パートナーを守り続ける不屈の騎士。
もう、その設定だけでご飯がどんぶり3杯はいける(^^)
月には、もうひとつ重要な要素がある。いつもこちらに見せているのは同じ面なので、裏側を地球上から見ることはできないのだ。
すごく近くにあるのに決して交わることのないものというのは、なんともいえない神秘感が漂うものである。
表と裏。
昼と夜。
光と影。
ジキルとハイド。
昔から、物語のモチーフとして多用されてきた形式だ。
もちろん、日常でもこのモチーフに接することは多い。
たとえば、誰かのことを好きになったとしよう。
好きになった人のことは、なんでも知りたくなるものである。
しかし、その人は月なのだ。
絶対に見ることのできない裏の顔を、隠し持っている。
月の裏を見たい。
でも、見られない。
そんなもどかしさの中、恋心ばかりがつのっていく。
しかし、ひょっとしたら、月の裏側なんて見なくてもいいのかもしれない。そう私は思うのだ。
隠された裏の顔を含め、月はトータルとして美しいのだから。
それならば、目の前に見えている月の輝けるかんばせを、気高き姿を、隠された神秘を、そのすべてをありのまま愛すればいいではないか。
しょせん、我々は限りある生と知性しか持てぬ不完全な存在である。
愛する人の裏側を深読みしていられるような時間的余裕など、どこにもないのだ。
ええと、何の話だっけ?w
ああ、思い出した。
私、好きですよ。
仮面の騎士、ムーンライト。その真の顔を知る者は、誰もいない。どのような逆境にあっても、仕える相手を守るために全力を尽くす、不屈の騎士。
顔が見えなくても、性別が不明でも、格好いいものは格好いいのです。存在そのものが魅力的なので、謎が多くてもいいのですよ……もう、ご飯おかわり!w
嗚呼、素晴らしき哉。
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