概要
二千字前後の、ちょっと大人な恋愛ものだけを集めた、短編集。糖度高め。
「愛してます」
「私は愛してないわ」
高橋くんは、身だしなみにうるさい。いつもスーツの内ポケットに忍ばせてるコンパクトミラーを差し出すと、こちらに向けて私の顔を映してみせた。
「でも顔、真っ赤ですよ。冴子さん」
「……! 怒ってるのよ! 貴方が生意気だから!」
私は強がって踵を返す。だけど、歩き出す前に手首を掴まれた。引き寄せられて、強引に腕の中に閉じ込められる。
「冴子さん。もう一度言いますよ。愛してます」
私は無言でその逞しい胸の中に収まって、後輩に好きにされている恥ずかしさに俯いてしまう。
「僕が年下なのが嫌だって言うなら、急いで歳をとりますよ。冴子さんはいつまでも少女のままでいてください」
悔しいけれど、そう言った高橋くんは格好良かった。私が年下の坊やと付き合う事になるなんて
「私は愛してないわ」
高橋くんは、身だしなみにうるさい。いつもスーツの内ポケットに忍ばせてるコンパクトミラーを差し出すと、こちらに向けて私の顔を映してみせた。
「でも顔、真っ赤ですよ。冴子さん」
「……! 怒ってるのよ! 貴方が生意気だから!」
私は強がって踵を返す。だけど、歩き出す前に手首を掴まれた。引き寄せられて、強引に腕の中に閉じ込められる。
「冴子さん。もう一度言いますよ。愛してます」
私は無言でその逞しい胸の中に収まって、後輩に好きにされている恥ずかしさに俯いてしまう。
「僕が年下なのが嫌だって言うなら、急いで歳をとりますよ。冴子さんはいつまでも少女のままでいてください」
悔しいけれど、そう言った高橋くんは格好良かった。私が年下の坊やと付き合う事になるなんて