概要
激しい嵐の中、それでも山奥のペンションには五人の客が集まる。偏屈な老人、破局寸前の恋人、カップルアレルギーの女性、常識のない大学生。無駄に個性豊かな彼らが一堂に会する夕餉の場で、テレビのニュースが一つの事件を告げた。ペンションすぐ近くの橋から車が増水した川に転落したと思われる痕跡が見つかったそうだ。目撃証言や行方不明者の情報を募るそのニュースを見て、一人の客が言う。
「この中の誰か――もう、死んでたりして」
かくて聖夜、「誰が死んでいるか」を決める珍妙で不毛な会合が開かれるのだった……
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「アイツが怪しい」と互いが疑う閉鎖空間のドラマ
殺人劇じゃないが、密室殺人事件の推理ドラマのような緊張感を味わえる。
窓の外は土砂降りの雨。外部との通信手段が途切れ、登場人物達はペンションの内に閉じ込められる。
金田一少年の事件簿に出てきそうなシチュエーションではないか。
但し、些細だが、決定的に異なる点が1つ。
誰が殺したか?
ではなく、誰が死んだか?
それについて、雰囲気的には侃侃諤諤の議論が交わされ、その言い合いの果てに人間関係が落ち着く所に落ち着き、翌日には皆が去って行く。
お約束通り、キャラの濃い登場人物が集まり、我儘やエゴを剥き出しにして口撃し合うのだが、その会話が面白い。
本作品も十分に面白いが、これを脚本にした演劇も面…続きを読む - ★★★ Excellent!!!クリスマスの山荘で起こる、人情溢れる「死者探し」
クリスマスのとある山荘に集まったのは、五人の個性豊かな客人。態度の悪い老人、破局寸前のカップル、暗い雰囲気の女、どこか間の抜けた大学生。
そんな彼らが集まる夕食の場で、とあるニュースが流れる。山荘近くの橋で、車が転落したらしいと。それを見た誰かが、こう言った。
「もしかしたらこの中の誰か――もう、死んでたりして」
そこから始まる、奇妙な推理劇。
「誰が殺した」ではなく、「誰が死んだ」を推理する内に、
議論はあらぬ方向へ行ったり来たりで――。
山奥の山荘という、本格ミステリにぴったりの舞台ですが、
しかし展開する話は、「誰かがすでに死んでるんじゃ」という
ある種、間の抜けた話になります…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この中に幽霊がいる!? ペンションを騒がす一夜の大論争
物語の舞台となるのは、クリスマス当日に嵐が直撃した山奥のペンション。その日集まったのは、偏屈な老人、破局寸前のカップル、陰気な女性、常識知らずの大学生……
そんな面子が顔を突き合わせても会話が盛り上がるわけない。しかし、ペンション近くの橋で車が川に転落したというニュースが流れ、さらに客の一人が「もしかしたらこの中の誰か――もう、死んでたりして」と言い出したことで事態は一変。
かくして集まった客たちの間で、この場にいる人間のうち誰が幽霊なのかを決める、不毛な論争が始まってしまうのだ……。
最初の方はちゃんと真面目に推理で幽霊を捜そうとしていたのに、気が付けば投票で決めようとしたり、自分こそが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!奇跡は起きる。だって、今夜はクリスマスだから――
クリスマスの夜のペンションを舞台にした、推理? コメディ? 人間ドラマ? 何と言えばいいかわからないけれど、面白い話。
登場人物は、集まった客たちと、ペンションのオーナー。推理小説の伝統舞台とも言えるこのシチュエーションで、話は展開します。議題は「この中の誰かが、すでに死んでいるはずだ」。
ストーリーが進むにつれ、それぞれが抱える事情が明らかになり、広がり――収束していく。
話が進むほど、どんどん面白くなります。8話構成ですが、何だこれ? と思わずに、じっくりと読んでいただきたい。きっと満足いただける結末が、待っていますから。 - ★★★ Excellent!!!幽霊の実在を検証する新しい方法を聖夜のペンションで提唱する。
長野の高原にあるペンション『森の隠れ家』にて、
嵐になったクリスマスイブに繰り広げられる珍妙な会合。
その議題は、
「増水した川に車ごと落ちて死んでしまった幽霊は誰だ?」
ペンションのオーナーで物語の視点、田上淳子。
飛び入り客のチャラい大学生、城ケ崎直哉。
二度目の来訪者にして偏屈な老人、岡島康二。
恋人に対してつっけんどんな態度の藤本美月。
ずぶ濡れで到着した、藤本の恋人の小林学。
陰気で不気味な黒ずくめの女、奥山彩音。
推理して推薦して立候補して抽選する。
その過程で明らかになる、それぞれが背負う事情。
団結して訴えたメッセージは、愛のドラマを呼び寄せる。
温かな余韻の中で起こるど…続きを読む