この中に幽霊がいる!? ペンションを騒がす一夜の大論争

物語の舞台となるのは、クリスマス当日に嵐が直撃した山奥のペンション。その日集まったのは、偏屈な老人、破局寸前のカップル、陰気な女性、常識知らずの大学生……
そんな面子が顔を突き合わせても会話が盛り上がるわけない。しかし、ペンション近くの橋で車が川に転落したというニュースが流れ、さらに客の一人が「もしかしたらこの中の誰か――もう、死んでたりして」と言い出したことで事態は一変。
かくして集まった客たちの間で、この場にいる人間のうち誰が幽霊なのかを決める、不毛な論争が始まってしまうのだ……。

最初の方はちゃんと真面目に推理で幽霊を捜そうとしていたのに、気が付けば投票で決めようとしたり、自分こそが幽霊だと立候補者が現れたりして幽霊探しは二転三転。さらに話が進むにつれて、それぞれが抱える事情が明らかになり事態は思わぬ方向へ。

性格も年齢もバラバラな個性豊かな客たちが「誰が幽霊なのか」を巡って、変な理屈をこねながら口論する様子は非常に小気味よく、一気に物語の中へ引きつけられ、気が付けばクリスマスならではの味わい深いラストまで一気に持ってかれる。

(クリスマスぼっちが楽しく過ごすための4選/文=柿崎 憲)

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