幽霊の実在を検証する新しい方法を聖夜のペンションで提唱する。
- ★★★ Excellent!!!
長野の高原にあるペンション『森の隠れ家』にて、
嵐になったクリスマスイブに繰り広げられる珍妙な会合。
その議題は、
「増水した川に車ごと落ちて死んでしまった幽霊は誰だ?」
ペンションのオーナーで物語の視点、田上淳子。
飛び入り客のチャラい大学生、城ケ崎直哉。
二度目の来訪者にして偏屈な老人、岡島康二。
恋人に対してつっけんどんな態度の藤本美月。
ずぶ濡れで到着した、藤本の恋人の小林学。
陰気で不気味な黒ずくめの女、奥山彩音。
推理して推薦して立候補して抽選する。
その過程で明らかになる、それぞれが背負う事情。
団結して訴えたメッセージは、愛のドラマを呼び寄せる。
温かな余韻の中で起こるどんでん返しは、美しくも切ない。
テンポよく展開されるストーリーは、
作者ご本人の解説通り、舞台演劇でも観てみたい。
デートコースの意味と彼の正体はすぐわかった。
私なら哲学の道、銀閣寺、鴨川からの病院を咄嗟に提案する。
一癖二癖ある登場人物たちの人生ドラマにドキドキしつつ、
最後は落ち着くところに落ち着いたと感じた。
とても綺麗で端正なコミカルミステリー。
自分にはない作風だからこそすごく好きで、憧れる。
聖誕節快楽!
周末愉快!