概要
ふたつの国、ルミアスランサとエトリアは血で血を洗う戦争に明け暮れていた。
ルミアスランサの王立士官学校を次席で卒業したルテリエは、上官の覚えよろしくなく、倉庫番に追いやられ冷や飯喰らいを押しつけられた。
このまま塵とホコリに塗れながら消えてゆくかに思われた天下のダメ男にある日、転機が訪れる――。
「君にはすべての輜重隊を指揮して、軍の胃袋を飢えさせないよう取り計らって欲しいんだ」
軍需物資を統括してルミアスランサ軍を勝利に導け!
のちに「兵站の神」と謳われた輜重隊長ルテリエの戦国成り上がり伝説がはじまった。
(※完結しました。文庫本一冊程度の分量です)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この物語の主人公、戦えば強く、仕事もできるというのに、どうしてこうも?
戦乱の時代。ふたつの大国は、凄惨な戦争に明け暮れていた。戦果は一進一退。
自国の緊急時にもかかわらず、この物語の主人公は、倉庫番という閑職に、その身を置いていた。王立士官学校を次席で卒業した、優秀な人材だというのに。
そんな主人公のもとに、主席の座を争った、かつての友が訪ねてくる。そこから、主人公の運命が変わる……。
「すべての輜重隊を指揮して、軍の胃袋を飢えさせないよう取り計らって欲しい……」
拮抗する戦火の中、輸送網の整備のために、縦横無尽に動く主人公の姿は、凛々しく格好いい!
ただ、女性に対して優柔不断すぎるのがいただけない。だから、苦労するのだろう。それはそれで、おも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!奇抜の皮を被った王道!面白い!
最初は「ファンタジー一位か……ふん、ちらっと見てやらんこともないな! ちらっとだぞ!」くらいの気持ちでしたが、一息に引きこまれ気付けば一気に読了。まさにルテリエを見続けてきたシェリーの思いです。(意味は読んで頂ければお分かり頂けるかと)
勇猛を誇る騎士でもなく、策謀を巡らせる軍師でもなく、それを支える兵站を描く。発想は奇抜、されど確かな文章力とストーリーテリングがそれを支え、奇抜に終わらぬ良作に仕上がっています。
何より奇抜なのは「兵站」というテーマを掲げた外面だけ。その内面には、巡る策略あり、一筋縄ではいかない男女のお話あり、剣が閃く戦いも、手に汗握る決戦も、先へ進まずにはいられないエン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!裏方さん奮戦系の物語が好きな方、絶対に必読!!
本作は戦記物。ですが主人公は前線で華々しく戦う名将・勇将・知将ではなく、後方支援係。要するに裏方さんです。その裏方さんが必死になって頑張るという筋書きの物語になっています。
更に本作の主人公の真の敵が、敵軍ではなく、「物資を消費する味方軍」である事も特徴です。有限の補給物資を必死になってやりくりし、発生するトラブルに頭を悩ませながら、主人公は知略の限りを尽くして前線に展開する味方軍に向けて、懸命に補給物資を送り届けます。
とにかく主人公達の涙ぐましい地道な努力を積み重ねる姿と、必死になって頑張る姿が非常に印象的です。ちなみに自分は読んでいて、思わず「頑張れ!!」と声に出して応援して…続きを読む