泡沫の蒼空を舞う天使機関《エンジェル・エンジン》

　蒸気機関機械が発達した国イルヴァインの首都ヴァンケットにて、翼の生えた異形の存在『天使』の従者であるリィトはその天使、ミコトの命により、辺境フリューゲスに住む天使の妹たちの世話係として任命される。妹たちは隣国のアルセレスを滅ぼしたと聞かされるが、リィトは荒唐無稽なその話を内心で一笑に付す。
　リィトには目的がある。父と同じ議員になること。天使の従者はリィトの目的から見当外れな職であり、妹たちの世話係も当然リィトの望む職務ではない。
　フリューゲスでは三人の妹たち、ミュリヤ、リナリス、シノがそれぞれの態度でリィトを迎える。天使の妹である彼女たちは動力無しの義肢を付けており、かつ異形の天使。気味悪がるリィトは妹たちとの交流を断ち、この場所に馴染まないよう努めるが……。