十一

霊障にはルールがある。ルールがあるのなら、それを逆手に取ることもできる。 本作は、ある種のルールハックによって除霊を行う、霊感のない詐欺師、コンさんの活躍を描いた連作短編だ。 心…続きを読む

たとえば歳を重ねて虫を素手で触れなくなってしまったような、そんな感覚がまざまざと思い出されました。 そして、だからこそコミックソングを聞くラストのシーンで語り手の心情に同調している…続きを読む

鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし
三橋鷹女はそう詠った。
しかし、本作の私は鞦韆を漕が（げ）ない。
ブランコを揺らすのは風。
風の止む気配はなくいつまでもブランコは揺れ続ける。

恐るべきトリックです。 講座と銘打たれているように啓蒙として、ひとつの作例として「小説」として仕上げられています。 しかし、それだけではありません。 心当たりのある人、特にKACで…続きを読む

【タイトル】　嘘を書いてもアンフェアにならないとされる場所

こんな感じのがまとまってます。
ミステリ読みはだいたいこういう諧謔好きだよね（偏見)

炎上中のVtuberの中の人（美少女)が、大学生である僕のところへやって来てこう言う。 「しばらく泊めてほしいんだけど」 押しかけ系ラブコメのフォーマット。 ははーん、これはあ…続きを読む

弟のくだりでおぉっ、となって父親のところでもう★三つつけたくなった。 その期待は裏切られなかった。 最後のシーンに若干の違和感を覚えさせる部分があるのだが、ビキビキとテーマが匂…続きを読む

すべてのピースがかちりとハマるその美しさこそがミステリには求められている。 クローズドサークルものに代表されるような、余計なものを極限まで削ぎ落した無駄のない箱庭のような構成。 し…続きを読む

言葉である歌を失った少女は、立ち入り禁止の屋上でヘッドフォンをはめて音に溺れる。 けれど、その屋上の鍵はあってないようなもの。 ヘッドフォンもノイズキャンセリングで外音を完全に遮断…続きを読む

大学で天使に出会った私は、二十歳の誕生日にお酒の力を借りていよいよ彼女に関係を迫ろうとする。そこで意識されてしまうのは自分が男性ではないということだった。 という内容を回想を交えつ…続きを読む

えらいものを読んでしまった。 まずタイトルが良い。 とち狂ったとしか思えない状況がタイトルで示されているばかりか、パロディにパロディを重ねるようなスタイルが如実に現れた秀逸なタイト…続きを読む

大量にネタが生み出されあっという間に流れていくネットだとやっぱり速度って大事 筆の遅い私なんかは速く反応できるのはそれだけで才能だと思ってしまう ただ速く書けるだけでもすごいのに、…続きを読む

これが評価されていないのはおかしい。 たしかにタグから察せられるように重いし一話が少し長めだしweb小説の主流からは外れているのかもしれない。 テーマがテーマなだけに下手なことは言…続きを読む

初見で私は「あかん、これは人類には早すぎるヤツや」と数話読んだところでそっと閉じてしまった。 それからしばらくして話題になっているので再び挑戦。ナチュラルに頭おかしい（褒め言葉）あ…続きを読む

脚注でのセルフツッコミの発展系というか、奇術師作家の仕掛け本のwebバージョンというか。 なるほど、こういうやり方があったかと唸らされます。 テンプレにのっとりつつのジャンルの組み…続きを読む

田舎の時間は循環し、都会の時間は直線的に発展すると言われることがある。 たしかに、都市部の風景というのは刻一刻と変化している。 それこそ自己増殖しているのではないかというほどに、現…続きを読む

思春期というのはアンビバレントだ。 少し世の中の事が見えるようになったけれど全てが見通せるわけじゃない。 ひねているのに妙な潔癖さも持ち合わせている。 この作品は、そうした感情を描…続きを読む