除霊師のお話や、幽霊/呪いの類とのバトルのお話が沢山ある中で、全くの異色というか新たな切り口のホラー×ミステリーの名作!
街で日々起こる不思議な霊障、うつつならざるものたちが起こす不可思議を解決するのは……ビシッとスーツを着こなし、銀色の眼鏡をかけ髪を七三に綺麗に分けた——詐欺師!?
そう、この主人公、通称:コンさんには霊感というものが全く存在しないのです。さて、ではどうやってこの人の力及ばぬ世界の事象を解決していくのだろうか?
本編は短編連作という形で進んでいきますが、どの話も日常に溶け込みそうなゾクッとする切り口。そこからコンさんが解決に持っていくまでの様々な手口、語り口がまた素晴らしいのです。
除霊方法が『詐欺』。
つまり幽霊を騙すということ。
物理や術で霊を倒すお話が多い中で、この解決方法にはもう脱帽の一言。
著者の素晴らしい知識量と文章力がなければ纏められないだろうなという事件の数々を、スッキリとした読後感で収めてくれます。
ブレークポイントでの「愛してないの?」で謎が深まり……そして事件はコンさんの過去へも繋がっていて——。
「うわー、そうだったのか!」
「ちくしょう、やられたぜ!」
出会い頭には一癖も二癖もありそうなコンさんの、不器用な優しさに触れながら、きっと騙された幽霊と一緒に笑顔でそう言いたくなるはず。
この物語に中毒性はありませんよ、ほぉら大丈夫大丈夫。
なぁんて。ご安心ください、読んでしまえばアナタもきっと虜になっちゃうカモ……。
とても面白い、オススメの一作です。
除霊師という言葉から、霊感を持つ人間が霊を祓う姿を想像される方が多いかもしれません。しかし、こちらのお話に出てくる男性・コンさんは、霊感を持たない詐欺師であり、持ち前の話術を武器にして、迷える魂を次々とあの世へ導いていきます。
デパートに伝わる禁忌を犯してしまった女性、亡くした友達の霊、次々と不幸を呼ぶゲーム……心霊現象に悩まされる人たちとの出会いが、ヒューマンドラマの横顔を持つ物語に、人情の温かさを灯しています。
見どころは、除霊の現場で発揮されるコンさんの話術です。紡がれる言葉は合理的で、人だけではなく幽霊の心理やルールをも掌握する手口が鮮やかでした。
怖さも、優しさも、切なさも詰まった、斬新な切り口のホラーミステリー。とても面白かったです。
霊障にはルールがある。ルールがあるのなら、それを逆手に取ることもできる。
本作は、ある種のルールハックによって除霊を行う、霊感のない詐欺師、コンさんの活躍を描いた連作短編だ。
心霊現象の原因を突き止め、詐術を利用してそれを取り除く、そのためには調査が必要だ。詐欺の下準備、ミステリ的な迂遠なプロセス。そうした焦らされ続けるような展開を想像するかもしれない。
しかし、ご安心あれ。
各短編は、依頼者の視点から語られる。生活に混じりこむ怪異、それぞれの生活が描かれているからこそ、それがリアリティを持って感じられる。少しずつ日常が侵されていくような恐怖。ホラーとしての堅実な描写から、おぼろげながら浮かびあがってくるルール。
そこで、コンさんの登場だ。
白い鳥居の神社を訪れた依頼者は、霊感のない詐欺師と会うこととなる。
そこからの流れは、スピーディーだ。
まず、原因の究明が速い。さながら、安楽椅子探偵。
ワトソン役となった依頼者は、わけもわからぬまま、その詐術の実際の手口を目の当たりにする。
もちろん、その手口の解説という解決編もある。
我らが名探偵と言いたくなる鮮やかさだ。
リーダビリティの高い文章、魅力的なキャラクター、シリーズとしてもっと読みたくなる安定感のある展開。
しかし、それはあくまで短編としての面白さだ。
幕間に挿入されるブレークポイントによってほのめかされる大きな流れ、それこそが連作を連作たらしめている。
コンさんの過去は、なぜ彼が霊感がないながらに除霊をしているのかにも関わって来て……。
これは間違いなくコンさんの物語だ。
彼の活躍をもっと見たい?
たしかに、その余地のある書きた方にはなっている。
しかし、彼と彼の過去を巡るドラマには区切りがついた。
そこには、ひとつの物語を読み終えた満足感がある。
こちらの作品は、除霊ものに分類されるのだと思いますが、一風変わっているのはその除霊方法!
除霊を行うのはコンさんという人物なのですが、この人、なんと霊媒師ではなく「詐欺師」なんです。霊も元は人だから…ということらしいのですが、その鮮やかな手口に読者は毎回「ほほう」と唸らされっぱなしです。
ストーリーは一貫して霊障が起こり、コンさんが解決していく…という流れですが、扱う事件も様々で、デパートに出る幽霊や、昔亡くなった友達の霊、はたまた怪異や呪いというオカルトな事件まであり、作者の引き出しの広さもすごい。ゾクッと背筋の凍るような余韻の残るエピソードもあれば、思わず涙してしまうような心温まる感動エピソードまでもあり、最後まで読者を飽きさせません。
また、作品を通して語られるコンさんと亡き妻に関わる呪いの話も見所です。全ての決着がつく最終章はハラハラドキドキが止まりませんでした。
ホラー×ミステリー×人間ドラマ。コンさんに騙されたと思って1エピソードだけでも読んでみてください!
心霊現象に悩まされた人が、とある古ぼけた神社を訪ねると、神主を通じて紹介される一人の男。
『コン』と名乗る、クールで物憂げな雰囲気の彼は、なんと霊感がないのだという。
そんな人が、いったいどうやって除霊をしようというのか?
答えは『詐欺』です。
何かしらのきっかけで生者に執着する亡者を、巧みな話術で騙し、諦めさせる。
この鮮やかな会話劇が非常に痛快で、読みながら何度も舌を巻きました。
ストーリーは短編連作仕立て。
発生した怪異の程度や性質は実にさまざま。原因となった霊を欺くコンさんの『手口』も多岐に渡り、読み手を飽きさせません。
さまざまな困り事に陥った依頼人たちの視点から、コンさんという一人の男の為人が描かれていきます。
最初は冷淡に思えた彼も、本当は心根の優しい人だと分かってきます。
そんな彼が除霊を続けるのは、ある目的のため……
どうしても消せない恨みを雪ぐのは、より鋭く強い恨みなのか。煙に巻いて気を逸らすだけの言の葉なのか。
はたまた、深く柔らかく包み込むような愛なのか。
哀しく、温かく、どこか清々しい読後感でした。
とても面白かったです!
こちらのお話が大好きすぎて、最新まで読んだところでレビューしています。
この物語は「霊感がない除霊師」のお話……と言っても、霊を騙し結果的に除霊をするという、詐欺師のコンという男性が主人公のお話です。
ホラーもあり、感動もありな内容となっていて、霊感がないのにその頭脳だけでクールにスタイリッシュに仕事をこなす、すごいコンさんなのです。
このお話を書かれている作者さまの頭脳と知識にもびっくりです。スタイリッシュな主人公の雰囲気にぴったりな文章術もこの作品の魅力だなと思っています。
エピソード区切りでお話が終わるので、短編として読むことも出来るので、読みやすさとしてもとても素晴らしい作品です。
そしてこのコンさんという主人公がまた魅力的で。
一見クールで掴みどころがない少しきざっぽい男性なのですが、なぜか悲しい雰囲気を纏っているという女心をくすぐる男性で!
第一印象は依頼人のみんなからするとあまりよくないみたいですが(笑)、そのツンとしている傍らに見せるその優しさ……たまらん!!(取り乱し)
それも決してあからさまに優しさは表に出さないんですよね。ほんとにさり気なく、相手に気を遣わせないところがまた惚れます。(自然とやってるところがまた……)
最後は依頼人みんな彼のさり気ない暖かさに惚れてると思われます。
特に好きなお話はエピソード2の「遊びに来たよ!」です。最後は涙が止まらず。
色んな謎が散りばめられつつ進んでいくのですが、時々入る「ブレークポイント」でその彼の過去が次第に明らかになっていきます。
なぜこんな仕事をしているのか、過去に何があったのか。
段々と分かって来るその彼の過去も合わさり、コンさんの魅力が更に倍増していきます!
後半まで読んで、また最初から読むと、なるほど!こういうことだったのか!と色々分かる点がたくさんあり、2度おいしい物語となっています。
ぜひ皆様に知ってほしい彼の悲しくもあり暖かくもある物語。
そしてコンさんについて語り合いましょう!!