田所米子

これは、一人のものぐさ物書きの ①自分の部屋に置いた資料本を取りに行くのがめんどくさい（執筆はリビングでするから） ②ウン百冊の本の中から目当ての本を探すだけでも一苦労 ③記憶力…

何となく＋描写力を磨くために作った短歌を公開していきます。なぜ古文調になるかは自分でも分かりません。

草原の遊牧民族の少女ツェグナは、叔父がかつて起こした事件の償いとして、敵対する部族に嫁ぐことが決まった。諦観と期待をもって旅立った少女はしかし、自分と同じ経緯で嫁していた姉アムタ…

内臓逆位である確率：三千から一万人に一人 無性愛者である確率：百人に一人ほど アファンタジアである確率：百人に二人から五人 これは割とレアな、けれども日常生活において（少なくと…

かつての国主の末裔であるものの、すっかり没落し衣食にも事欠いていた令嬢アレスターシャは、酒浸りの父の死により成金の新興貴族の妻となった。結婚後、「天使の奥方」と呼ばれるようになっ…

何となく作った古文調の短歌を載せていきます。テーマ？　知らない子ですね。

遠い西の地から氷雪と鬱蒼と茂れる森林の地へと入植し、権力を握った部族の娘シグディースは幸福だった。だが同盟を結んでいたはずの同じ入植者の別の一派によって国は滅ぼされ、支配者たるシ…

閉鎖的な田舎で鬱鬱と暮らす少女、麻友子の家にはある秘密がある。モルフォ蝶に焦がれる少女の、ある夏の日。 この話はsasamomoさん主催の運命アンソロ「運命よ、そこのけそこのけ作…

スイーツ作りが趣味の男子高校生は、今日も親の再婚によってできた義理の姉のためのお菓子を作るが……。

日々下宿先にこき使われる貧乏書生は、ある晩見てはならぬものを目にする。下宿先の娘が、何者かと交わる、おぞましい姿を。

子育てもひと段落した平凡な中年男は、若かりし頃から同じ夢を見続けている。己の首に纏わりつく蛇の夢を。心霊の類は一切信じぬ男が辿りついた、その正体とは。

終戦後の日本の、関西のどこか。一目で混血と分かる髪と目をした娘は、柘榴の実を携え、家に戻る。誰よりも自分を憎んでいる姉は、柘榴が好きだから。

不治の病を患ったために座敷牢に閉じ込められた、高慢ちきな豪農の娘。その世話を申し付けられたのは、貧乏な家の物言えぬ娘だった。共通することと言えば年齢ぐらいの二人の娘は、それでも互…

ある夏の日、ある見世の新造は、開け放った戸の向こうに耳を澄ます。間夫を作った罪で仕置き小屋に入れられた姐さんの悲鳴すら聞こえなくなってから、もう何日も経っていたから。

――さくらんぼのヘタを結べる人はキスが上手いって言うけど、ほんとにそんなことできる人っているのかな？ さくらんぼを摘まみながら幼馴染の優香ちゃんに問いかけると、最近私の元彼と付…

ある薩摩の町人は娶って間もない妻と睦まじく暮らす一方で、あろうことか妻の弟と情けを交わしていた。正月も明けて間もないさる晩。今日も今日とて愛しい少年と逢瀬を重ねた彼は、帰りに白装…

歪んだ硝子窓の向こう。赤々と燃える菊桃を眺める没落した旧家の令嬢は、明日にも成金の後妻にされる。子どころか既に孫もいる蝦蟇そっくりの醜男から、生家が多額の融資を受け取る引きかえと…

とある王国のド田舎のある森には、愉快な手下たちを率いる、どこからどう見ても男にしか見えない女盗賊バルデロがいた。腹筋はバキバキ、二の腕は力こぶでゴツゴツである。 それなりに平穏な…

青丹よし奈良の都からはるばる古里に赴いた女は、夫と子と共にはまなし咲き乱れる浜辺に赴く。密かに情けを交わしていた弟の骨を、故郷に埋葬するために。

時は室町。月が美しい秋の夜、武家の夫婦は杯片手に鬼女紅葉の伝説について語り合う。己には勿体ないほどに美しい妻にいつまでも馴染めぬ夫は、最近ある娘を寵していたのだが……。鬼女伝説に…

みよは花嫁衣裳を縫っていた。三つ年が離れた、美しい姉の花嫁衣裳を。水神様の嫁にされると決まった姉のために。

　王政が廃止されたばかりの国ルオーゼ。そのある主要都市の修道院で生活していた少女セレーヌ（※十三歳）は、ある日いきなり死刑を宣告された。 　どうしても生きたい理由があったセレーヌ…

無事大学受験も合格し、上京を控えた田舎の少女と、その病んだ母親。彼女たちが互いについた大きな嘘は、ねじれにねじれて互いの身に喰らいついていた。 この話は菖蒲あやめさん主催の病み…

結婚することになった後輩を祝福するため、彼女を自宅に招いた女は、狼狽える後輩に花束を差し出した。――フランスでは花嫁に鈴蘭を贈るという。

　自称公国一の美貌を誇りながらも婚期を逃し続けた貧乏貴族の娘ゼリスリーザは、仲が悪い従妹に投げつけられた現実――嫁き遅れ――の汚名を雪ぐべく、西方の国ルオーゼの王に贈られる愛妾候…

百五十年前。最果ての島に吹き荒れた宗教弾圧の嵐の凄惨さを物語るのは人間だけではない。 ある島で起きた事件を基にした短編です。

こういうのっていいですよね……。一度やってみたかったんです。素晴らしい企画をありがとうございます。プロフィール欄では自主規制してる性癖をどんどん晒します！

　ダーシアの世界は異腹の兄である正嫡の王子さえいれば完成していた。エルゼイアルは父王の庶子である異母妹を何よりも必要としていた。 　禁じられていると気づいたときにはもう遅かった。…

平凡なJK・米子は、帰宅するなり、目を少年のごとく輝かせた父からこう言われた。 ――今日、米男（弟）がババア（母）から電話なげつけられたんだぞ！　 ある家族のもう還らない日常の…

いじめられっ子な「僕」といじめっ子な「彩花ちゃん」の、朝顔よりも儚く萎んだ初恋未満のなにか。

　大革命前夜の斜陽の帝国。ある高官の屋敷で下働きとして働く少年アリムは、離れに住まう女トゥミネと出会い親交を深める。その四百年前。海を越えた帝国との戦いを目前に控える王国で、少年…

彼岸花の下には死体が埋まっているかもしれない。

白に埋もれる庭を見つめる少女とその従妹の、さっくり読める百合話。

　少女はチョコレートとコーヒーを携え自室に閉じこもる。長い長い片思いに終止符を打つために。

長い年季も明け、馴染みの客の妻となった女郎。ふとした折に夫から逸れた彼女は、ほおずきを恐れる奇妙な子供に出会う。

　ある女が友人に送った最初で最後の手紙。その手紙には、女の秘められていた想いが綴られていた。