ある男は、髪以外はさして魅力的でもない妻との関係を振り返る。そして、その関係の合間には、彼のたまに見る蛇の夢があった。
この作品はもちろん蛇と髪にまつわるホラーです。
女性の情念や恐ろしさを書いた作品ではあるのですが……。
ふと、読みながら思ってしまったのです。
……怖っ。
自分がさも被害者や善人であるような顔をして、他者を追い詰める人がいます。
「ああ〜あ、こんなのと一緒じゃ、自分の人生は不幸だな」と他人が変わることを望みながら、自分は一切変わらない人がいます。
しかし、自分の倫理に外れた行動や人の心を踏みにじる言動は、全く自覚していないし意に介さない。
ふてぶてしく、そんな人は今日も生きています。
他人にぶつぶつ文句を言いながら。自分がどれだけ他人に憎まれているかもわからないで。
世界には自分しかおらず、他人を道具や機械、無機質なものと見る人がいます。
だというのに、憎まれていることも一切気づかず、自分が美しいと感じたものを愛で、それにフェティッシュを感じる。
その思考が恐ろしい。一番ホラーなのは……。
恐怖とともに薄気味悪さが背筋を駆け上る、この作品をお楽しみください〜!