★★★ Excellent!!! 彼岸花の《赤》は何を語る 夢見里 龍 西洋では死の暗喩となるのは《黒》ですが、東洋においては《赤》ではないでしょうか。「美しいままに落ちた椿」「土に挿された風車」「燃えさかる旗」「投げだされた下駄の鼻緒」どれも《赤》の印象があります。 それでは彼岸花の《赤》はいったい、どのような死を物語るのか。 暗く、されど史実には残らないところではきっとそのようなこともあったのだろうなと想わせられる、重みのある短編でございます。 皆様がたも是非にご一読くださいませ。 レビューいいね! 2 2018年12月6日 01:55
★★★ Excellent!!! 染み込む情緒 萩尾みこり 落ち着いた口調で語られる怪談、ゆっくりと染み込んでくるかのようなホラーです。それゆえのぞくぞくとくる恐怖感、それから前述している女将の語り口調、それらの臨場感が話が進んでいくごとに増していくのが実に鮮やかでした。 本当にあの花の下には何が埋まっているのでしょうね? ですが、あの紅い紅い花の海――それを前にしていると、語られた昔話の真偽など些細なことのように思えてくるのです。 事実、花は咲いているのだから。 レビューいいね! 2 2018年12月5日 22:55
★★★ Excellent!!! 案内人の語る先には…… 雹月あさみ 辺り一面紅に染まる彼岸花。 近くの民宿からでも小一時間かかる場所に彼岸花の群生地があるという。 群生地まで道案内をする傍ら、彼岸花について語り出す……。 そもそも彼岸花とはどんなものか、これから行く群生地にはどのようにして彼岸花が咲いたのか、と。 案内人の語り口調で進んで行くストーリーは、まるで案内人とともに読み手が群生地に案内されているかのように引き込まれていきます。 そして案内人のまとわりつくような語り口調に恐怖を覚え、ハッとした時にはもう……。 読み終えた頃には辺り一面紅の海になっていることでしょう。 レビューいいね! 2 2017年12月27日 02:14
★★★ Excellent!!! ぞくっとします。 ココナッツ 語りによって昔話が進められていくストーリー。 闇の中でぱっと鮮やかな赤が浮かび上がってくるようなそんな文章です。 特に最後の一言がぞくっとしますよ。 レビューいいね! 2 2017年12月22日 22:22
★★★ Excellent!!! 血海を思わせる、夥しい紅花に眠る罪 節トキ 彼岸花、というと不吉なものを想像させられますが、この物語はその想像力がかき立てられる妖しい魅力に満ちています。 かつて、この地で起こった陰惨な昔話。 それを観光客に語り聞かせるという形でストーリーが進むのですが、語り部である民宿の主人の口調が優しげでいて淡々としていて、どこか不安を誘うものとなっております。 伝えられた昔話と語り部の見解、どちらが正しいのか。 どちらであろうと紅の花の美しさ… 続きを読む レビューいいね! 2 2017年12月17日 01:08
★★ Very Good!! なんて妖艶な赤 星霄華 としか言いようがないですね、はい。 女将が昔話を語るだけの短い物語ですが、キーワードや秀逸な表現が上手く散りばめられていて、読んでいるだけで容易く想像でき、ぞくぞくしてきます。実際にあったかもしれない、昔話として残っていそうなところがより怖い……。 繰り返される表現が、特に秀逸ですね。それに、聞き手がこの後どうなったのか……想像を掻きたてられます。 これ、ちょうど彼岸花が咲いている時期… 続きを読む レビューいいね! 2 2017年12月17日 00:28
★★★ Excellent!!! 喰らい喰われ咲き乱れ、貴方の口に含むものは、毒入りか? 紅蛇 怖く、残酷だけども、美しい景色に鳥肌が立つ。 とっても、好きです。(突然の告白) この話は、案内役の人が彼岸花にまつわる昔話をするものです。 語り手から紡がれる言葉は、どこからが真で、どこまでが実話なのかが、わかりません。きっと、当時の当事者のみが、知っているのでしょう。 ですが、語り継がれる、その彼岸花———死人花は美しく、奇妙で、悲しい……。 「生きる」ということは、「人の業」とは、その… 続きを読む レビューいいね! 2 2017年12月15日 18:34
★★★ Excellent!!! 紅い花は何を語るか 千鳥すいほ 物語をあえて語り切らず、読者に想像させる構成がテーマと相まってぐっときます。 彼岸花は黙ってそこに咲いているだけで、艶やかな紅さと美しさに不吉さを纏わせるのは、やはり人の業なのかもしれません。 レビューいいね! 2 2017年12月14日 22:41
★★★ Excellent!!! きれいなきれいなあの花は何を糧に咲くのだろう 日崎アユム 民宿の主人が観光客に昔話を語り聞かせる物語です。 彼岸花の群生地、美しいその花畑には、陰惨な伝承が残っています。 物語は民宿の主人の語りで進められていきますが、彼はどことなく楽しそう。 確かに彼の言うとおり。 伝承というのは誰かが伝えてきたことです。 語られているということは全滅したなんて嘘――かもしれないし、ひょっとしたら、本当かもしれない。 あるいは昔話が嘘か真かはどうでもいいことかもしれな… 続きを読む レビューいいね! 1 2017年12月14日 13:42
★★★ Excellent!!! 咲き広がる、物語の紅い花 増黒 豊 飢えがもたらす、陰惨な出来事。 この物語の主題は、語り部が伝えるその事実、あるいは虚飾ではなく、それが広がってゆく様にあると感じます。 時間の経過。意味を持ち、植えられていたはずの彼岸花は、時と共に別の意味を持つようになる。 それは作為か、自然の摂理か。 はじめ、誰かの手により、管理されていたはずのものが、いつしか際限なく、気づけば、はじめからそこにあるものへ。 その花の紅いことに、また別の… 続きを読む レビューいいね! 1 2017年12月14日 09:54