語りによって昔話が進められていくストーリー。闇の中でぱっと鮮やかな赤が浮かび上がってくるようなそんな文章です。特に最後の一言がぞくっとしますよ。
西洋では死の暗喩となるのは《黒》ですが、東洋においては《赤》ではないでしょうか。「美しいままに落ちた椿」「土に挿された風車」「燃えさかる旗」「投げだされた下駄の鼻緒」どれも《赤》の印象があります。…続きを読む
物語をあえて語り切らず、読者に想像させる構成がテーマと相まってぐっときます。彼岸花は黙ってそこに咲いているだけで、艶やかな紅さと美しさに不吉さを纏わせるのは、やはり人の業なのかもしれません。
飢えがもたらす、陰惨な出来事。この物語の主題は、語り部が伝えるその事実、あるいは虚飾ではなく、それが広がってゆく様にあると感じます。時間の経過。意味を持ち、植えられていたはずの彼岸花は、時と共…続きを読む
桜の下には死体が埋まっている──梶井基次郎の短編小説の有名エピソードを引き合いに、読み手を深淵へと誘うホラー作品。短い文字数の中に散りばめられた、生への執着と死への畏怖。喰らふと云う欲望の根源…続きを読む
もっと見る