物語をあえて語り切らず、読者に想像させる構成がテーマと相まってぐっときます。彼岸花は黙ってそこに咲いているだけで、艶やかな紅さと美しさに不吉さを纏わせるのは、やはり人の業なのかもしれません。
一次創作が好きです。 短編『ちょっと身体と喧嘩しまして』がアンソロジー書籍『5分で読書 ちょっとかわった、恋のはじまり。』(カドカワ読書タイム)に収録されま…
西洋では死の暗喩となるのは《黒》ですが、東洋においては《赤》ではないでしょうか。「美しいままに落ちた椿」「土に挿された風車」「燃えさかる旗」「投げだされた下駄の鼻緒」どれも《赤》の印象があります。…続きを読む
落ち着いた口調で語られる怪談、ゆっくりと染み込んでくるかのようなホラーです。それゆえのぞくぞくとくる恐怖感、それから前述している女将の語り口調、それらの臨場感が話が進んでいくごとに増していくのが実…続きを読む
語りによって昔話が進められていくストーリー。闇の中でぱっと鮮やかな赤が浮かび上がってくるようなそんな文章です。特に最後の一言がぞくっとしますよ。
飢えがもたらす、陰惨な出来事。この物語の主題は、語り部が伝えるその事実、あるいは虚飾ではなく、それが広がってゆく様にあると感じます。時間の経過。意味を持ち、植えられていたはずの彼岸花は、時と共…続きを読む
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