フロル・ネージュの街の歌

作者 さきうら

6

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★★★ Excellent!!!

主人公のユキは16歳の劇団員。
彼女が人魚姫のオーディションに落ちた瞬間から、物語は始まります。
信じていたものを粉々に砕かれて、失意のうちにあった彼女が出会ったのは、白馬の王子様ではなく、夜中に池の柵を越えようとしている不審な美青年・アレクシスでした。
女神が愛した美しい街、フロル・ネージュと、芸術に生きる人々の情景が、精緻な言葉で綴られた作品です。

”人魚姫に誰よりふさわしいのはわたしであるはず”
”だってわたしは人魚の娘なのだから”

冒頭のユキの独白は、何も知らない読者には謎めいて映ります。
ユキを取り巻く世界は、どこか不思議で、まるでおとぎ話の中のよう。
けれど、アレクシスとの交流を通してユキが答えを見出していくと共に、それまでは薄皮一枚を隔てていた世界が、生々しい感情を伴って眼前に開けるのです。

舞台の上は夢の世界。
演技とは、夢を見せること。

物語を通してユキが見せてくれるとびきりの夢と魔法を、どうぞあなたの目で確かめてみてください。