工藤行人

――これは、よろずの和歌たちから着想を得て紡がれる短編集。 『万葉集』、『古今和歌集』、『小倉百人一首』……。 日本には和歌という文化があり、太古の時代から星の数ほどの和歌が作…

美しい死に囚われる二人の大学生。父を突然の病で喪った主人公の僕。リスカを繰り返す怜悧かつ可憐な少女、落合由香利。父の魂を奪った夥しい絢爛を纏った翡翠の翼を、僕は忘れることが出来な…

昭和初期 大陸出身の料理人と娘

御身は彼等のために耳の中の神殿を造りたまいき 『オルフォイスへのソネット』リルケ

　人々は自らの労働の結果である生産物を互いに関係づけるために、彼らの行う様々な労働の形態を抽象的人間労働と同等のものとせざるを得ない。彼らはそれと知らずにそれを行う。彼らは物質的…

主要登場人物 ・菅原雪乃介

　蔵出しした作品その五……ではなく、もともとは作者が備忘録として書き溜めていたメモ類です。ちょっと気取って「論考」と称してますが、そこまでお堅いものではありません。 　メモのた…

1400PV感謝！　『落研ファイブっ』としてビーチサッカー大会に出る羽目になった一並高校落語研究会。二学期からついに落研本来の活動に戻れると思いきや――。 本作は『落研ファイブ…

第1歌集『発熱』より、春の短歌を選んで、 順次紹介していきます。 それぞれの短歌に、オリジナルの解説を書きますので、 併せて、ご覧ください。 なお、原作1行書きとは表記を変えて…

文学者・三島由紀夫は決起に失敗した。 一九七〇年十一月二十五日、何者かの裏切りによって本懐を遂げることなく戦後社会を生き延び続けた老作家・三島由紀夫は、とある青年との対話を繰り返…

「海が見たい」と、 マッチングアプリのたった一言からはじまる「綾」と「僕」の１日だけの旅。二人を取り巻く想いの連鎖が導いた先で、たどり着いた海は何も応えてはくれない沈黙の海だった。

【☆3桁＆7000PV超え&カクヨムコン９最終選考進出！】 　学内一の『ゆる部活』として知られる｜一並《ひとなみ》高校落語研究会は、サッカー狂の｜多良橋《たらはし》が新顧問になっ…

　奴隷の流刑地である、獄国日本。そこに無罪のまま流された記憶喪失の青年、ブレ・ベストは、身を置くこととなった周防分区の異能力者たちと争い、また交流しながら、自分の正体、そして世界…

ある朝、菊田は通勤のため駅へ向かう途中、見知らぬ男から、覚えのない罪を被せられる。 男を振りきろうとするが、老女やその息子、若い女がつぎつぎ現れ、電車は何本も通り過ぎていく。 は…

友人・あいら氏とのやり取りの記録。 《レギュレーション》 ・存在しない小説のタイトル・あらすじ（嘘あらすじ）を用意する ・その場で互いの用意してきたタイトルを公開する ・相手の…

　化物も幽霊も出てきません。 　超常現象も起きません。 　一番怖ろしいものは、生来、心の奥底に潜ませてあるのです。 【注意】 　虫などのグロテスクな描写が苦手な方は、どうか、…

【目次】※各章完結 第一章 Bogus　←これ 第二章 脚本力学第二法則 -カインの光学- 第三章 赤子塚 ※二章と三章はページを分けて投稿予定です。 【主要登場人物】 千羽…

【最新話〈星と舟と〉永遠の薄明の世界。わたしは星を目指し、小舟で進んでいく――】 掌篇・短編集。 自分だけの箱庭を創るように、美しいもの、儚いもの、おぞましいもの、悲しみ、痛み…

厳寒の地、グライブに出現したのは氷の大樹、フリーレン。曇天を裂き、逆さに伸びる枝が地に触れたれば土地は滅ぶという。 大樹の手がかりは五枚の石版、解読できるのは言語学者のみ。 災厄…

第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト 短歌の部 二十首連作部門 参加作品 やまとうたのみちそこれ

　小さなお話をいくつか編もうと思う。 　初めに短い散文と、二人の男の会話を入れたのは、古い趣味を真似ただけのことだ。しかし、ここには全編を通して底流するひとつの意識がある。 「光…

登場人物 ケネス・グラント アレイスター・クロウリー イスラエル・リガルディー カール・ゲルマー ジャック・パーソンズ 列聖省員 東方聖堂騎士団の魔女その一 東方聖堂騎士団の魔…

エッセイ集「世界を巡るシーン」の覚書の延長で日常に溢れる樹木や草花については膨大な量なので、こちらでコラム風にまとめることにしました(不定期更新) 経緯についてはエッセイにも書き…

沢木が出会った氷野という女性は銅のような眼をしていた。二人で出かけることもしばしばだが、何かに執着するような氷野について、沢木は上手く捉えることができないでいた。ただ、彼女の瞳だ…

ベンヤミンの『複製技術時代の藝術』などを参照して、AI技術時代の藝術についてかんがえてみます。

オムニバス短篇集、『10 Stories』シリーズ第一弾です。 10篇の物語には、それぞれイメージソングがあります。といっても、歌詞をそのまま物語にしたとか、こう解釈したとかい…

芸術をこよなく愛する主人公が大学で出会ったのは、容姿の良い風変わりなドイツ人だった。彼の作品は見た目からは想像も出来ないできばえで、それでも主人公は彼に惹かれた。 自分の中にある…

ピアノ伴奏つきの独唱曲として、フランツ・シューベルト、ロベルト・シューマン、フェリックス・メンデルスゾーンらのロマン派が活躍した時代に開拓され興盛期が築かれたドイツの芸術歌曲、ド…

ニコラス. A氏による『Predicted』の二次創作です。 インスパイア元はこちら↓ https://kakuyomu.jp/works/1681733064754335221…

　軍人たちが『魂魄接続』によって戦闘機ではなく『神神』を操縦して戦っているもうひとつの第二次世界大戦末期。亜米利加教国は爆撃天使ラファエルとウリエルをもちいて広島と長崎に『天罰』…

不可能、形態、能力に係る再帰構造とそれによる事物の表現に就いての試論。 試論は並行して行われる。 それぞれの章は互いに関係しているが、独立した試論として読むこともできる。

アクセサリー職人で、頭が蝉の「先生」と、その先生に弟子入りした「私」。 私たちは夏の七日間だけ、一緒に静かな工房でアクセサリーを作る。 夏の暑さと、仕事への誠実さと、お茶を飲む…

全三話。 小説的手法を用いた論考。 限りなく生きることが可能になったとしても、終わりある永遠を私は生きたい。

今からおよそ五百年以上も前、まだ地球が宇宙の中心にあり、太陽と月とが地球の周りを回っていた時代のこと。「見えない都市」を旅したという吟遊詩人の青年がその旅の記憶を物語る―

「『書く』ことは自己の立場を明確にさせ、したがって自己をコミットすることである」 ／高坂正堯『国際政治――恐怖と希望』（中公新書、1966年） ----------------…

2020年、山口県、新南陽総合支援学校。 遠心力を操る能力者であるヴェロニカ・ヴィランコートは、 パートナーのフタヒメ・ハーレンレファーと共に、卒業試験の模試に挑む。

「宇宙背景放射」 天文学用語で、宇宙から等方的に入射する電磁波（光）のこと。宇宙最初の光の名残りとされる。「宇宙マイクロ波背景放射」とも呼ぶ。 「なんでもありません。神様が世…

きっ・する【喫する】 の解説 ［動サ変］［文］きっ・す［サ変］ １ 食う。飲む。吸う。「茶を―・する」 ２ 好ましくないことを、身に受ける。こうむる。「惨敗を―・する」 （『…

　閉鎖病棟に入院した『わたし』は、おなじく患者である老爺からノートをわたされる。多元宇宙内の自分自身と意識を交換できるという内容のノートによって、わたしは、窮極集合内の『おれさま…

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冬の公園で、彼女は「私も月に行きたいです。何もかも捨てて……」と白い息とともにこぼした。

漢和辞典と、ネット上の「近世詩語玉屑」を参考にして、五言絶句を作ってみました。書き下し文に加え、短いエッセイと俳句を添えています。

カクヨムで書いている方々に触発されて、詩をつくるようになりました。 はじめ文章修行のつもりで書いていたのが、だんだん詩そのものが楽しくなってきて。俳句から短歌、漢詩、自由詩と、…

中世のような風習と、高度な文明が共存する街で巻き起こる混乱の物語。 二人で旅をしているパドマとアガサは、ある朝、絶滅したはずだった子供を川辺で見かけ、その姿を追う。 たどり着いた…

《毒》×《グルメ》×《薬》×《後宮》×《がんばるヒロイン》！ １５万ＰＶ突破！ いつもお読みいただき、ありがとうございます！ ドラドラふらっと♭にてコミカライズ 連載始動！ ニコ…

「連載中」としていますが、基本的には一話一話が完結したものとなってます。 　したがって、どの話を読んでいただいても結構です。 　一部には数話が連関しているものもあります。 　…

俺たちが生まれたのは平成が始まったばかりのころ。 いわゆるミレニアル世代の俺たちの出会いは1996年の春。 ポケベルで愛を育み、コギャルやアムラーが街を闊歩していた騒々しいけどど…

二〇〇〇年から少し経った、第二文明末期。地球を大災害群が襲い、ほとんどの歴史の証は消え去った。選ばれた少数の人々は宇宙基地に逃れて六〇〇年間の冬眠につき、その間に地上に残った人…

"The little flower lies in the dust. It sought the path of the butterfly." 　　Rabindranath…