概要
「先生、御機嫌はいかがですか」
文学者・三島由紀夫は決起に失敗した。
一九七〇年十一月二十五日、何者かの裏切りによって本懐を遂げることなく戦後社会を生き延び続けた老作家・三島由紀夫は、とある青年との対話を繰り返す。
一九七〇年十一月二十五日、何者かの裏切りによって本懐を遂げることなく戦後社会を生き延び続けた老作家・三島由紀夫は、とある青年との対話を繰り返す。
――おくって、しまうんですか?
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あの日死ななかった三島由紀夫の現在を描く至極のパスティーシュ
1970年、小説家・三島由紀夫は自衛隊駐屯地でクーデターを呼びかけた後、割腹自殺による壮絶な死を遂げた。内容もさることながら、ノーベル賞候補にもなった日本有数の文学者が起こしたということもあり、この事件は世の中に大きな衝撃を与えた。
この事件が未遂で終わってしまい、三島由紀夫が現代まで生き延びたifを描いたのが本作品である。
かつての怜悧さは失われ周囲からはすっかり過去の人と扱われ孤独な晩年を過ごす三島、その彼の行く先には常に一人の青年がつきまとう。彼は三島の小説を引用しながら三島の現在のあり方を責め続ける。この青年と三島由紀夫の対話がある種の三島由紀夫論になっているという構成が凄…続きを読む