「花瓶」を含む小説

花瓶に挿さった一輪の花。 五枚の白い花弁《はなびら》が特徴的な一輪の花。 君がどこからか拾ってきた一輪の花。 それに水をやるのは、僕の仕事。

風に踊り、舞い狂い、陽を散らしながら落ちてくるのは、薔薇の花びらだ。落下を続ける芳しい幕を、黒爪の指先が割ってくる。指に挟まれている緑が、鼻先に差し出された。畳んだ紙片を花瓶のよ…

かつて、月面観光船「ムーンシップ」の事故で幼馴染みの紗理奈を亡くした城戸 理仁。その後、彼は宇宙飛行士になり探査のため、太陽系外惑星を目指す。その先で彼を待っていたものは──そん…

サライは彼から貰ったマリーゴールドをずっと育てていた。それは枯れることを知らず、月日は三十年も過ぎていく。

私は交通事故にあった。 余命も先刻され、死に場所を勝手に決められた。 運命が嫌いな少女と窓際に供えられた花瓶にある一輪の花の、死ぬまでの物語。

ある日、教室に一番乗りした私が見たのは、自分の机の上に置かれた花瓶だった。

高校1年生になったばかりの「佐々木梨花」は、父と母との３人家族。単身赴任で隣町に仕事で出ている父と専業主婦の母。特に何も考えないダラダラとした生活を望む梨花。そんな佐々木家に一本…

　隠れ家風のインテリアショップを営んでいる<僕>。そこで店長をしている僕は、動物の革や骨を使った雑貨などを製作し、販売していた。ある日、店内でアルバイト店員の女子大生である<平櫛…

封花瓶。それは精霊を宿す神秘の魔法具。 自由気ままに振る舞う精霊は、輝く花にその身を宿した。 こうして人と精霊は繋がり語らうことができる。 そんな小さな精霊と人との物語。 …

少女はとても幸せだ。 何故なら不幸なことが何一つ起きてないからだ。 これまでなら週に一度は必ず何かしらの糞を踏み、道を歩けば物が頭上に降ってくる。それが花瓶ならとても良い方で時…

父親が再婚し、僕。岬宏樹には、母親と妹が出来た。だが、妹の紗夜ちゃんは植物状態で二年間目を覚ましていない。そして、僕はお見舞いに行ったのだが、紗夜ちゃんに見惚れてしまい、床に落ち…

両親の死によって莫大な遺産が受け継がれたニート、葉山雄介は、ネットで知り合った社畜ＯＬＹＵＫＡ(仮名)とメールのやりとりを続けている。 何もかもに飽きてしまった葉山と、成し遂げた…

大切な記憶ほど奥深くにしまい込まれ、その姿を見ることは難しくなる。 しかし、忘れたころにふとしたきっかけで再び姿を現すかもしれない。

　十六歳の夏、僕の同級生が死んだ。 　その子の唯一の友人といって良い女子『月岡』は、感情の抜け落ちた無表情で日々を過ごしている。 　そんな彼女に近付くのは、コミュニケーション能力…

予約は受け付けられなかった。 夫の思いは込められなかった。 病人は心配をかけなかった。 鍋は料理に使われなかった。 あるべき所におさまらなかったものたちの、ゆるやかに回った１日…

四つの短編。 高校教師である長野原未散は平凡で平和を信条に、つつがなく日々を暮らすことだけ願っていた。そんな彼女の職場である高校のグラウンドに、突如ミステリーサークルが現れる。…

あたしは醜い。 整形をして第二の人生を歩むと決めていた。 そしてそれは叶った。 しかしあたしはどこか違和感を感じ始めていた。 あたしのしたことは、本当に正しかったのだろうか。

藤代丈が丸子翔と出会ったのは小学校五年生の時。丸子翔は端整な顔立ちに青い目の、大人びた少年だった。女子にはもてたが、男子からは鼻持ちならない奴とみなされ嫌われた。丸子翔に話しかけ…