「聞こえてくる」を含む小説

南の海に浮かぶこの小さな島には、不思議な話が一つある。南東の岬にぽつんと建っている、朽ちかけた木造の小屋、そこから夜な夜な、歌が聞こえてくるという。

その峠道を歩く旅人は時として驚かされることがある。 人とは思えぬ不気味な声が「はなさないで」と呼び掛けてくるからだ。

<KAC2024「ささくれ」参加作> アタシはいつだって、自身の完璧を追い求めてきた。 周りから啜り泣きが聞こえてくる時でさえ、些細なささくれが気になるほどに。 アタシたちの結末…

深夜のファミレスには色んな人が現れる。 色んな会話が聞こえてくる中で、今日はとある男女が話をしているのを拾ってみることにする。

中学生の時、女子選手ながらシニアリーグで最優秀選手に輝いた天才投手、咲坂久留美は鳴り物入りで全国大会常連の創世高校野球部に入部するが、歴代最強と呼び声高い当時の三年生最後の大会に…

KAC2024 ～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2024～ KAC20243の第3回お題「箱」作品です。 俺は同じ部活をしている先輩後輩のとある休日のお話――。…

自主企画『あなたの作品を原作で書かせてもらえませんか？』応募作。 『@netauth01』様の『最近、原因不明のレベルアップに悩まされている。』を原案にだぶんぐる改変で書かせてい…

昭和50年（1975年）、家庭教師として訪れた名家で1人の少女と出会う。 「私は籠の中の鳥。決して自由に空を飛ぶことの出来ない哀れな鳥なのです」 儚げな少女の言葉の意味とは。…

姫路城に伝わるとある噂話。 城内の桜の樹の近くにいると少女の歌声が聞こえてくる。歌が好きかと尋ねられ、その歌声に魅了されてしまうと…… 『SARF×カクヨム 短編こわ〜い話コンテ…

たまたまバイトで一緒になった女の子と仲良くなりたい俺は、箱崎東郷。 かわいいその子は香椎千早。彼女は少しお姉さんで面倒見がいい。 ところが、千早には同じくバイトで一緒になった男、…

隣の市に引っ越して来た姉の家に、子供を連れて遊びに行く私。その日は姉の家で夕食の準備をしていたのだけれど、バタバタと駆け回る足音が聞こえてくる。子供たちは静かにゲームをして遊んで…

柴田恭太郎様の自主企画、「三題噺#51」に参加させて頂きました。お題は、「風船」「Tシャツ」「シルエット」です。 なんだかんだで三作目になる、ポンコツ異世界ファンタジーものを書…

春の日に花の言葉を聞いたように 冬には冬の言葉を聞いて 耳を澄まして、目を閉じて 静かな囁きが聞こえてくるまで

緑と活気溢れる明るい町。行き逢う人々の笑顔は日常、どこからか聞こえてくる挨拶は時間を知らせる合図。平和そのものと言えるこの町はかつて生きとし生けるもの全てを苦しめる澱んだ空気と毒…

博物館の最上階にあるのは天文学の展示室。そこには彗星の欠片が展示されているのだという。博物館を題材にした散文詩様の作品です。

異世界、通常互いに交わることのないそんな世界の間でも偶然や必然から人やモノが転移してしまうことがあります。 事件事故に巻き込まれて知らない世界に来てしまい困っている人々を元の世界…

毎週土曜と日曜は少年野球に通っていた。 ある日、野球から帰ってくると家の中がどうも騒がしい。聞き慣れない鳴き声も聞こえてくる。 古い家の茶の間の扉を開くと、そこには真っ白で小さな…

十倉唯男《とくらただお》は逃げていた。 すべてから逃げていた。 それくらい、唯男の人生は詰んでいた。 発狂した唯男は意識が混濁する。 意識が鮮明になると、唯男は自分の体が分離して…

薄暗いどこかの部屋。狭い脱衣所。 機嫌を表すような楽し気な鼻歌が聞こえてくる。 まただ、と守矢鈴は思った。 先にある小さ目な風呂場で、女の人が山姥みたいに髪を乱してのこぎりを引い…

　とあるおでん屋の屋台。出汁の豊かな香りと共に陽気な店主の声が聞こえてくる。 　「お客さん。お客さんはラッキーだよ。鉄道事故に巻き込まれなかったんだから。不謹慎ながら、ラッキーな…