「香り」を含む小説

　焼きたてに勝る物無し

朽ち果てた修道院の中庭に鎮まる黒い泉には、かつて木苺の花飾りを挿した乙女が沈んだと伝わる。理由も定かでないまま、その泉を訪れた「私」は、底知れぬ水面に自らの影と乙女の幻のような微…

調香師として名を馳せる涼音は、吸血鬼のクォーターという秘密を抱えていた。 祖父が吸血鬼である涼音は、生まれつき吸血鬼としての特性を持ちながらも、人間らしく生きる道を選んできた。 …

男子大学生の「江夏陽介」と普段はしっかり者な1つ年上の女子大学生の「松村雪」との香り好きな2人の恋愛物語。

甘い香りと、藤紫。 どこを探せど陽光は見当たらない。天は覆い尽くされ、視界は全て、甘い香りの源である藤の花。その藤花の群生から、ひらひらと舞い落ちる藤色の花弁。それが行き着く先は…

闇鍋に、何を入れますか？ 鍋を囲む面々が周囲を見回し怪しい笑みを浮かべながら思い思いの具材をぶち込んだ鍋を前に照明を消し、構えた箸でそっと触れたそれを口の中に含んだ時、どんな食感…

寒風に潮の香りを感じながら突きつけられたのは、嘘か本当か。 知人に紹介されたアルバイト先で出会った「三神先生」に一目惚れしたのが大学入学すぐのことだった。 物腰柔らかく、一分の…

思い入れのあるレストランで婚約者に婚約破棄された挙げ句、式場のキャンセル料まで支払う羽目になった穂乃香。 帰りに立ち寄ったバーでしつこいナンパ男を撃退しようとカクテルをぶちまけ…

月・水・金の戌の刻（午後20時）更新。 『爪紅庵』は、純和風の茶室を使ったネイルサロン。 お迎えするのは、爪紅師のいろはと色造師のサイ。 いろいろな香りに誘われて選ばれた各章の主…

★丿口（へちこう）カ南（カナン）：「宮隠し事件」の調査を命じられる。剪紙冥宮（フリル）と名づけた異能を使う。沈香漂う美麗の冥宮師。コイツが「うっかりお母さん」します。　 ★羽根井…

他サイトで掲載していましたが表現の過激さゆえに運営様より警告を受けたのでこちらに来ました。あと一回やりすぎたらBANだそうなのであっちでは書けません。えっちなのはいけませんね。 …

第１章を無料公開中 あらすじ 都内の高校に通う小峯結風香は、先日亡くなった祖母の遺品である一冊の古いノートを、母から渡された。それは、祖母が小学校に通う前の終戦間近に、…

あらすじ 　ライゼン通りの一角にある何時も美味しい香りが漂うパン屋さん。そのお店には可愛い看板娘が一人いました。この物語はそんな彼女の人生を描いたものである。

文明開化に沸き立つ時代。その波は菓子の世界にも広まっていたが、和菓子職人の父を持つ杏は食べたことがなかった。 使いの途中に出くわした人は五年ぶりに再開した青年だった。礼だと振る舞…

ブランシュ・カローはもういない。 音を香水へと変化させた少女は、ラベンダーの香りに包まれながら、その姿を消した。 そして舞台は新たな香りの世界へ。 オーロール、そしてヴィジニー・…

会社員の牧野慎太は、身の毛もよだつ怪異に悩まされていた。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、見知らぬ女、ワカバだった。

午前三時。真夜中にその幽霊はやってくる。いつでも日だまりのようなバターの匂いを纏って。 幽霊、小手毬ハイネは、この世への未練を断ち切って昇天するためにお菓子作りが必要だということ…

月の地下世界に住む僕は明るい地上世界へ行くことを夢見ていた。 そんなある日空から回転するものが落ちてきた。それは動物で猫というそうだ。 暗い地下世界から抜け出た僕が、バタートース…