「純文学ではない。 短編」を含む小説

臆病な男女が出会した。。。

ある朝、私は「あれ」を忘れて家を出た。 しかし特に問題はないだろう。「あれ」を忘れたくらいでは。 何せ「あれ」は「あれ」に過ぎないのだし――。 大事な「あれ」を忘れたとある通勤者…

部屋の中、誰にも会わず、ずっと一人で居る人の話。頭の中を切り出してみると、中々不思議な世界が広がっていた。面白いかどうかは食べてみてのお楽しみ。

梨が欲しい？彼女は聞いた。ほぼ懇願したように。しかし、私は肯定的な答えをしなかった。彼女はすぐに堤防決壊のように泣いた。

あらゆる物事には「違い」があり、違わないものなど存在しない。 ではその「違い」とは何か。「違い」がわかるとは何か。 わかればわかるほどわからなくなる「違い」の無間道。 ※この作…

「最近出るらしいぞ…」 友人である田川のそんな一言を戯言とみなし、取り合わなかった航であったが…

「また会ったね！　でもごめん……ここは本文じゃないんだ」

きもちのかたち

海に浮かぶ美術館。青年は作品展を観賞しようと美術館に来ていたのだが、誰もいない。諦めて帰ろうとするが、外に出られない。困り果てた青年は〈名も無い人物〉の作品展を観賞しながら、美術…

度重なる重労働で、異性との出会いの機会に恵まれなかったオレは、ナイトギアを手に入れた。 ナイトギアを装着すれば仮想空間に意識と五感を接続できる。 だからオレは使う機会のなかった金…

　【五分で読書用に編集しました】 　儚く、切なく、無情にも過ぎてしまう季節に君に捧ぐ言葉。想いを胸に、初めて僕に告ぐ言葉。巡る季節に愛する二人にに降りかかる宣告は、二人を引きはが…

　大学で落伍し学習塾講師の職で食いつないでいた榊に、急な仕事が転がり込んだ。彼が師と慕う“塾長”が倒れ、その代役を頼まれたのである。困惑しながら経験のない仕事に取り組む榊だったが…

壁のような存在になりたい。僕として見て欲しいんじゃなくて、ただ、空気のように誰かを見ていたい。そう思ったのは、いつからだろう。彼のように飄々とした、幽霊のようにこの世界に流れてい…

彼が、私の記憶に眠っています。 きっと、両親の心にも眠っています。 毎日手を合わせて、彼に綺麗な水を捧げています。 海水じゃ、少し塩っぱいのです。 私たちの涙じゃ、少し塩っぱいの…

死にゆく者の記憶の物語。

「死神」と呼ばれる県庁職員・坂巻徹太郎。安楽死を望み、坂巻のもとを訪れる少女、里村葎。なぜ里村は安楽死を望むのか？　里村に対して坂巻が出した答えは？　安楽死を合法的に認める法律が…

故郷を捨てた男。 故郷を愛し続けた男の母。 望郷と後悔が入り乱れる葛藤劇。