些細な出会い

短編その２

　夜は静かだ。

　彼と彼女は逆光の道で会った。

　この前にお互いに会ったことがない。それぞれ一人で寂しく、静かに暮らしてきた。しかし今夜、偶然、二人とも自分が以前選ばない道を歩くことになった。二人は足を止めて率直にお互いを見つめた。

　これは奇妙で疑わしい。彼も彼女も少し臆病であるが、お互いの前で恥ずかしがることはない。彼らはお互いに安らぎを感じさせ、とても落ち着いていて、不快感はほとんどなかった。

　同じ魂が異性の2つの体に住み込んでいるかのように、彼らは同じ気性を持っているから、周りの人々のように仲良くする機会が与えられたとしても、お互いを愛していないかもしれない、と彼らは知っている。

　二人はこのように佇んで、見つめ合うだけで、最初から最後まで一言も会話を交わさなかった。おそらく短時間、おそらく永遠に分離、この人生で二度と会うことはないかもしれない。

　これはその小さな出会いであり、おそらくこの世界のすべてのロマンスの中で大したことではない。