第26話 看護師のお局あるある

居酒屋トーク:看護師お局あるある


「はーい、乾杯!」

彩香がグラスを高く掲げる。居酒屋の賑やかな雰囲気に包まれながら、美里と恵も笑顔で応じた。


彩香が話題を切り出す。

「さーて、今日は職場の“お局あるある”でも語ろうよ!」


美里が口元に手を当てて笑う。

「それ、絶対みんな一つは心当たりあるよね。」


恵が肩をすくめながら言う。

「一応先輩としてフォローしたい気持ちもあるけど、正直お局の存在が業務の妨げになることも多いのよね。」


彩香が勢いよく頷いた。

「わかる!まずナースコール、全然取らないよね。あれ何なの?音が鳴り響いてても平気で雑談してるの見ると、ほんとイラッとするんだけど。」


美里が少し眉をひそめながら同意する。

「あるある。しかも、『ナースコール鳴ってるんでお願いします』って声をかけると、『あなたが近いから行ってよ』とか言われるのよね。え、私も今別の患者さん対応中なんだけど?って思う。」


恵が苦笑しながら話を続けた。

「一番腹立つのが、自分が動かないだけならまだしも、ナースコール対応が遅れたときに、『なんで対応できてないの?』って注意してくるときよね。いやいや、あなたもいたじゃん、って。」


彩香が勢い込んで続けた。

「ほんとそれ!この間も、忙しくて手が回らなかったときにお局が『若い子たち、患者さんを待たせすぎよ』とか言ってきて、何もしないくせに文句だけは一人前なんだから!」


美里がジョッキを置き、話題を変えた。

「それでさ、お局の『自分のやり方が絶対正しい』ってのも厄介よね。」


彩香がすぐに応じる。

「そうそう!新しいマニュアルが出ても、『こんなの必要ない』って無視するの、どうかと思うよね。新人の指導を頼まれても、『昔はこうだった』とか言いながら、自分流を押し付けてるし。」


恵がため息をつきながら言った。

「そうなのよ。私が指導するときには、最新のやり方で教えてるのに、お局が同じ新人に『それじゃダメ』とか言ってくるから混乱するのよね。」


美里が冷静に補足する。

「しかもアップデートされてない情報が原因で患者さんに迷惑がかかることもあるのよ。この間も点滴のやり方で新人に間違った指導してて、患者さんが不快な思いをしてた。」


彩香が身を乗り出して言う。

「それで、自分が間違ってても絶対認めないのがまたムカつく!言い訳ばっかりして、しまいには『昔からこうやってきたのよ』って逃げるのよね。」


恵が苦笑しながらうなずく。

「そうね。しかも、他人のミスにはめちゃくちゃ厳しいのに、自分のミスはうやむやにするのよ。患者さんに指摘されたときなんか、『あの子が準備してたから』とか平気で人のせいにするの。」


美里が少し怒り混じりに言った。

「そういうの、チームとしてどうなの?って思うよね。他のスタッフがカバーするのが当たり前だと思ってるのかしら。」


彩香がジョッキを掲げ直して言った。

「でもさ、こういう話をすると、『じゃあお局をどうしたいの?』ってなるじゃん?正直、いなくなったらいなくなったで困るんだよね。」


美里が苦笑しながら答える。

「まあね。ベテランだから知識は豊富だし、患者さんからの信頼もあるし。問題はその活かし方なのよね。」


恵が真剣な顔で話す。

「そう。だから、やっぱり上手に付き合っていくしかないのよね。直接指摘すると絶対拗れるから、こっそり新人にフォローしたり、患者さんに説明したりするしかない。」


彩香が笑いながら締めくくる。

「なるほど、お局対策もスキルの一つってことか!じゃあ、そのスキルに乾杯!」


全員が笑いながらグラスを掲げた。お局の存在に対する不満を笑い飛ばしながら、彼女たちはまた明日からの職場に向き合う力を蓄えるのだった。


も。



------------------------------------------------------------------------------------------------


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしこの作品を楽しんでいただけたなら、ぜひ評価とコメントをいただけると嬉しいです。今後もさらに面白い物語をお届けできるよう努力してまいりますので、引き続き応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。


こんな小説も書いています

呪医の復讐譚:https://kakuyomu.jp/works/16818093089148082252

命をつなぐ瞬間:https://kakuyomu.jp/works/16818093089006423228

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る