第14話 男性看護師あるある

居酒屋の個室。席に着いたばかりで、乾杯の準備が整い、みんながグラスを手に取る。


「じゃあ、みんな!今日は仕事お疲れさま!夜勤の疲れも忘れて楽しもうね!乾杯!」

彩香が元気に乾杯の音を響かせる。


「乾杯!あー、やっと一息つけるわ。」

美里がグラスを口にしながら、少し安心した表情を浮かべる。


「ほんと、夜勤続きだと体がボロボロよ。あんまり無理しないようにって言われても、どうしてもね。」

恵が笑いながら肩をすくめる。


「そうそう、夜勤はまじで人生削るよね。昨日だって朝からバタバタして、最後の患者さんが帰ったときはもうヘロヘロだった!」

彩香がグラスを回しながら、話を続ける。


「でも、あんたたち、ほんとよくやってるわよ。特に翔太くんみたいな男性看護師は、力仕事頼まれがちだから大変でしょ?」

美里がちょっと意地悪く、翔太の名前を出しながら言う。


「確かに、翔太くんは大きな患者さんの体位変換も一手に引き受けてるもんね。あんな重い患者さんを一人であげるなんて、すごいわ。」

恵が口をすぼめて言うと、彩香が頷く。


「だよねー!うちの病院、力仕事はほとんど翔太くんだもん。なんか、男だと『力仕事頼んでおいて』って思われがちなんだよね。でも、あんたの腕力を頼りにしてるから、しょうがないよね!」

彩香が笑いながらグラスを軽く回す。


「そして、翔太くんにありがちなのが、女の子たちに下ネタや生理の話を目の前でされることよね。男性看護師って、なんかちょっと不思議なポジションだから、そんなことになっちゃう。」

美里が冗談っぽく言うと、恵がにやりと笑いながら、彩香を見て言う。


「でもさ、翔太くんって、まったく動じないよね。むしろ、余裕でそれを聞き流してるし。」

恵がにやりと笑いながら、彩香を見て言う。


「そう!『もう、慣れました』って言ってるしね。最初はめっちゃ困った顔してたけど、今じゃ完全に受け流しのプロよ!」

彩香も楽しそうに話す。


「でも、実際に翔太くんがいると病棟の空気が和むよね。あの静かな雰囲気が、意外と心地よくて、みんなリラックスできる。」

美里がちょっとしみじみと言うと、恵が頷く。


「本当ね。言ってみれば、あの無言のオアシスみたいな存在よ。どんなに忙しくても、翔太くんがいると『あ、なんか落ち着くな』って感じ。」

恵がにっこりと微笑むと、彩香も嬉しそうに話を引き継ぐ。


「そして、最後の謎はこれよ!『医者に間違えられがち』っていうね。」

思いっきり大げさに言うと、みんながクスクスと笑い始める。


「あれ、ほんとにウケるよね。『あ、医者さん、お願いします』って言われて、『いや、僕、看護師です』っていうのが、もう毎回笑える。」

美里が笑いながら目を見開いて、ジェスチャーを交えつつ話す。


「でも、意外と嬉しそうにしてるんだよね。『間違えられて嬉しいです』って言ってたし。」

恵がちょっと冷やかすと、彩香もまた笑いをこらえている。


「まあ、確かにそれはあるよね。でも、あんまり『医者っぽい格好してる』って言われすぎても困るんだけど、翔太くん的にはその『間違えられること』がちょっと嬉しかったりするのかな?」

彩香がおどけて言うと、みんなが再び笑顔を見せる。


「ほんと、こんなこと言ってるけど、翔太くんがいないと病棟がちょっと寂しいわよね。」

美里がしみじみ言うと、恵も頷きながら話を締めくくる。


「そうね、そう考えると、ほんとにいいメンバーが揃ってるってことよね。」

彼女たちはそれぞれのグラスをもう一度掲げ、静かに乾杯を交わす。


「じゃあ、これからもお疲れさま!来週も頑張ろう!」

彩香が明るく、元気に言いながら、グラスを高く掲げると、みんなが笑顔で乾杯した。


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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしこの作品を楽しんでいただけたなら、ぜひ評価とコメントをいただけると嬉しいです。今後もさらに面白い物語をお届けできるよう努力してまいりますので、引き続き応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。


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