第16話 看護師の食生活はヤバい?!
「私たち、食生活ヤバくない?」
彩香がジョッキを持ち上げながら、にっこりと笑った。グラスの中には冷たいビールがたっぷり注がれている。周りの仲間たちも同じようにジョッキを持ち上げ、それぞれが乾杯を交わす。今日もまた夜勤明け、居酒屋での一杯だ。
「何言ってんの、彩香。そんなんわかりきったことじゃない。あんたなんて、夜勤中におにぎり3つとか食ってるじゃん」と、美里が言うと、恵が頷きながら言った。「あのスピードで食べるの、見てるこっちが焦るわ。ちょっと、なんか咀嚼した?」
「いや、だって時間ないし」と彩香は肩をすくめて答える。看護師の休憩時間は短く、ゆっくり食事なんてしていられない。休憩に入っても何かあればすぐに呼び戻されるからだ。食堂でメニューを選ぶ暇もなく、毎回「これ、適当でいいや」と思いながら、無造作に手に取るのが普通だ。
「それな!」と恵が続ける。「病院の食堂、いつも何か微妙じゃない?今日はカレーかな、でもちょっと油っぽいんだよね。あ、でも、揚げ物は意外と美味しかったよね。まぁ、看護師にとってはこれがご馳走なんだよな。」
「いや、でも、あのカレーさ、何か微妙にカレーじゃないんだよね。」高橋が言うと、「わかる、スープみたいなもんだよね、あれ。」と美里が補足する。看護師の昼食は、栄養バランスを考えているようで、実はしょっちゅうそのバランスが崩れがちだ。食堂のメニューは、目をつぶってもいいくらいに「定番」が決まっていて、正直なところあまり楽しみでもない。今日はカレー、明日はトンカツ、またその次の日は唐揚げ定食。仕事中に気づけば、毎日似たようなものを食べている気がする。
「しかも、私たち、結構早食いだからさ。昼休み終わるの早いんだよ。」と、美里が呟いた。「おにぎり3つとか、あっという間だよね、彩香。」
「うーん、そうだよね。」彩香は少し考えた後に、「でも夜勤中に食べる時、ついつい夜食を食べちゃうんだよね。病棟の空気ってさ、食べることでリラックスできるっていうか。つい、つまみ食いしちゃう。」
「夜食ねー、なんかカップ麵とか食べてる時、私だけじゃなくてみんな食べてるもんな。」恵が言うと、美里も頷いた。「一緒に食べると、なんだか安心するんだよな。体重増加も怖いけど。」
「もうその話、しないでよ。」高橋が大きな声で笑いながら言った。「体重、やばいわよね、ほんとに。」
「いや、だってさ、食べ物ってやめられないんだよ。」と、恵が少し真面目な顔で言った。「毎日夜勤してると、気づけば夜食ばかり。おにぎりに、ラーメンに、焼き鳥…。」
「で、ラーメン食べた後に甘いもの欲しくなって、チョコとかアイスとか、これも看護師の定番だよね。」彩香がしれっと言うと、みんなが一斉に頷いた。
「確かに、アイス食べた後に、次の日はちょっと太った気がする。」と、美里が苦笑しながら言った。「でもさ、病院のコンビニにあるアイスって、なぜか美味しく感じるんだよね。」
「なんだかんだで、あのアイスの味、染みるんだよな。」と恵も頷く。「で、結局体重がヤバくなる。でも夜勤で食べるときって、どうしても食べちゃうよね。みんなお疲れさまだしって。」
「食べることでストレス発散するから、しょうがないよね。」と彩香が軽く笑う。「夜勤の後って、なんかお腹が空いてるんだよね。」
その時、美里が苦笑しながら言った。「でも、これって看護師あるあるだよね。確実に食生活やばいし、夜勤が終わった後も飲みすぎちゃうし、これが続くと体重増加で苦しむんだよな。」
「それに、飲み過ぎた翌日の朝、患者さんの顔を見てちょっと反省するんだよね。」と、恵が言った。「でも、やっぱり飲むと元気になるし、また次の夜勤のために頑張ろうって気持ちになるんだよな。」
「だからさ、これってもう、どこで折り合いをつけるかだよね。」と美里が言った。「でもさ、夜勤後のビールは最高じゃない?」
「それ、わかる。」と彩香が答える。「夜勤後の乾杯って、何だかリセットされる感じがするよね。」
「まぁ、健康は気にしてるんだけどさ、でも結局こうやって食べたり飲んだりしちゃうんだよな。」高橋が肩をすくめる。
「だよね。でも、私たちみんな、今のところ元気でやってるから、まぁ良しとしておこう。」恵が冗談を交えて言った。
みんな笑いながら乾杯を重ね、食事を楽しみ続ける。病院での忙しい日常と、居酒屋でのリラックスした時間。食生活がヤバくても、仲間と過ごす時間は大切だと感じる夜だった。
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